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製薬大手のノボ ノルディスク、AIを活用して加工度の低い植物性代替肉を作るプロジェクトに約10億円を拠出

デンマークの大手製薬会社ノボ ノルディスクが、より加工度を抑えた植物性タンパク質を開発するコペンハーゲン大学のプロジェクトに対し、5,000万デンマーク・クローネ(約10億800万円)の資金提供を行いました。

食品科学者 × AI研究者の協働を促進


植物由来の代替肉の加工度合いが問題になり、超加工食品(UPF)として避けられる傾向がある中、コペンハーゲン大学の新しいプロジェクトは、食品科学と人工知能(AI)を用いてこの問題に取り組むことを目指しています。

今後7年間にわたって実施される「AI4NaturalFood」プロジェクトには、ノボラピッド、オゼンピック、ウゴービなどの糖尿病・肥満治療薬で有名な製薬大手ノボ ノルディスクを所有する、ノボ ノルディスク財団が資金を拠出しました。

この投資は、デンマークの大学が優秀な研究者を引きつけ、特定の分野で強力なエコシステムを構築するのを支援する目的を掲げた、同社の助成金プログラムの一部です。

ワーゲニンゲン大学で26年間植物性食品の研究に携わってきたRemko Boomがプロジェクトの指揮を執り、コペンハーゲン大学の食品科学を扱う学部内で食品材料工学(Food Materials Engineering)の研究グループを新たに立ち上げ。

大学に属するデータサイエンティストと協力して十分なデータを生成する実験手法を開発し、それらを解釈するAIモデルを築きます。

Boomは、「歴史的に見て、食品科学者とAI研究者は別々の世界で活動してきた。食品科学者は実験に重点を置き、AIの専門家はロジスティクスなどの問題に取り組むことが多い。この助成金によって両者の協働が実現すれば、新しい革新的なものを生み出せるだろう」とコメントしています。

避けられてきた複雑な加工が、AIの活用で可能に


「AI4NaturalFood」の主眼は、植物本来の構造と組成を多く保持する「マイルドな」加工技術の改良。こうした加工は、伝統的な方法と比べてより複雑さが増すものですが、BoomはAIの出現によって、まさにこの複雑な加工を目指すことができると主張しています。

コペンハーゲン大学のプレスリリースでは、「食品は基本的に極めて複雑だ。パン一斤をとっても相互作用する何百もの物質からなり、分子構造、コロイド構造、マイクロスケール構造、マクロスケール構造など、あらゆるところに構造があり全体の特性を生み出している」と説明。

「従来の食品科学では、こうした複雑さを減らして、何が起きているのか理解しようとしてきた。しかし今こそ、複雑さを避けるのではなく、逆にこれを目指すべきだ。AIの力を借りれば、物質の相互作用をすべて把握し、利用することが可能になる」と述べています。

Boomによると、現在の植物ベースの食品システムは、種子や豆類などの原材料を分解し、その残骸を新たな原材料に組み立て直すという、手の込んだコストのかかるプロセスに依存しているとのこと。また、その過程で栄養素が失われてしまうのも問題でした。

その代わりにBoomは、「はるかにシンプルな方法で断片を作り、それらをどのように組み合わせれば良い食品になるかをAIで予測する」手法が効果的と主張。これにより、植物から得られるタンパク質が、原料の元の構造や栄養素をより多く保持できるばかりか、製造におけるエネルギーと水の使用量も大幅に減らせるといいます。

将来的には、製造を始める前から食品の仕上がりを予測でき、さらにはどの作物が特定の食品用途に最も適しているかを判断するのにも役立つ可能性があるとみています。

参考記事:
UCPH FOOD | LinkedIn
50 million to revolutionize sustainable plant-based food production – University of Copenhagen
Ozempic Maker Pumps $7.6M in AI Project to Make Non-UPF Plant-Based Meat

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