スウェーデンのStockeld Dreamery、発酵技術を駆使した植物性チェダースライスチーズ「MELT」を発売

スウェーデンの代替乳製品メーカーStockeld Dreameryが、4年にわたる研究開発の末、ニューヨークで植物性チェダースライスチーズ「MELT」を発売しました。

従来の植物性チーズが「プラスチックのよう」と揶揄されてきた食感を、発酵技術で改良した製品となっています。

優れた溶け具合で食感を改良


Stockeld Dreameryの新製品「MELT」は、エンドウ豆のタンパク質をベースにした発酵豆乳で作られた製品。その他の成分として、組み替えポテトスターチ、精製ココナッツオイル、菜種油、食塩、β-カロテン(着色料)、酵母エキス、ソルビン酸カリウム(保存料)、天然香料などを含んでいます。

タンパク質含有量は類似製品に比べて高く、1食(2枚)あたり2g。乳製品、大豆、ナッツ類などのアレルゲンは一切含まれません。

同社の共同創業者でCEOを務めるSorosh Tavakoliは、MELTの優れた特徴として、「現在市販されているどのチーズよりも早く溶ける」ことを挙げています。

圧力をかけてもバラバラにならず、裏返すことも可能で、速さが求められるフードサービスのオペレーションに適応。その上、バンズやパティにくっつき、ハンバーガー全体の構造を支える役目も果たします。

発酵を活用した代替チーズ「第3の波」


Tavakoliは、ヴィーガンチーズの進化を3つに区分して説明しています。一つは、植物性食品が市場で普及する以前に唯一の選択肢であった、ナッツをベースにした自家製チーズ。添加物の少なさと栄養価の面で優れていたものの、風味やクリーミーな食感など、重要な部分を欠いていました。

二つ目は、現在も主流となっている大手食品企業の製品で、デンプン、脂肪、香料をブレンドした大量生産品。これにより植物性チーズはチーズ総売上の1~2%を占めるまでに成長しましたが、それ以上の普及には至っていません。

Tavakoliはこれらに代わる次世代の製品として、自然な発酵プロセスと栄養面を重視した「第3の波」といえる代替チーズを提唱。「発酵により風味を向上させ、添加物を減らしてクリーンラベルを実現、健康上のメリットも増加させる」と説明しています。

この動きに沿ったものとして挙げられるのが、カナダの植物性食品大手Daiya Foods。昨年末に北米で大規模に展開していたヴィーガンチーズの製品群を改良し、発酵オーツ麦クリームをベースに用いる製法へと切り替えています。

外食での流通拡大に加え、小売り展開も


ニューヨークの外食市場で多数の企業との提携を進めるStockeld Dreameryは昨年、老舗ベーグル店のEss-a-Bagelとコラボし、アニマルフリーのクリームチーズを導入。現在では50以上の店舗で提供されています。

また、代替肉のみを扱うファストフードチェーンのNeat Burgerでは、Ess-a-Bagelのプレーンベーグルに、TiNDLE Foodsのパティ、Eat Justの代替卵が合体した「ROMESS-A」にも採用されました。

さらに、ニューヨークを拠点とする植物性食品のディストリビューターACE Naturalや、オンラインの外食産業向けサプライヤーWebstaurantStoreを通じて流通を拡大させ、今後数カ月以内に米国全土での展開を実現する見込み。

夏には小売店でも「MELT」の発売を予定しており、消費者との接点をさらに増やす計画です。

参考記事:
Sorosh Tavakoli | LinkedIn
Stockeld Dreamery Unveils MELT: Next Generation, Ultra Meltable, Cultured Plant-Based Cheddar Slices
Stockeld Dreamery Unveils Melt Cultured Vegan Cheese Slices

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