ビール酵母を再利用したタンパク質原料を開発する独ProteinDistillery、新工場の稼働に向けNETZSCHと提携

ドイツのフードテック企業ProteinDistilleryが、機械メーカーNETZSCH Groupとの提携により、卵白と同様の機能性を持ったバイオマス発酵タンパク質「Prew:tein」の精製プロセス開発を進めると発表しました。

醸造後のビール酵母をアップサイクル


2021年創業のProteinDistilleryは、ドイツで大量に入手できる醸造後のビール酵母を再利用し、バイオマス発酵により製造するタンパク質原料「Prew:tein」を開発。

この原料は、製造に必要な水、エネルギー、農地がほかのタンパク源に比べて少なく済むほか、9種類の必須アミノ酸をすべて含むなど栄養価に優れ、卵白タンパク質に匹敵する機能性(ゲル化、乳化など)を持っているといいます。

充填剤やメチルセルロースのような増粘安定剤の添加を必要としないのも魅力。タンパク質含有量は75%で、卵に限らず肉や乳製品、機能性食品など、複数の用途にカスタマイズが可能なことを強みとしています。

同社は先月、ドイツ南部に大規模生産施設を建設するため、シードラウンドで1,500万ユーロ(約24億7,000万円)調達を行いました。2025年までに完成予定のこの工場では、鶏卵2,000万個以上のタンパク質含有量に相当する量の「Prew:tein」を生産することが可能。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)の構築に寄与すると同時に、植物性食品メーカーによるクリーンラベル製品の開発を支援します。

また、現在はビール酵母に焦点を当てていますが、将来的にはほかの産業から出る副産物の活用も計画しています。

NETZSCHは新たに代替プロテイン分野に進出


バイエルン州に本社を置くNETZSCH Groupは、粉砕や分散を行う装置、ポンプ、分析・試験ツールなどが専門。150年にわたる製造機械と計測器の専門知識を有し、世界各地に製造・販売・サービス拠点を構えています。

前述のProteinDistilleryの新工場の建設当初から携わってきた同社ですが、今回の提携では新たに、発酵後のバイオマスから「Prew:tein」を分離し、最終製品に精製するために不可欠な設備を提供。さらに、最先端の精製手法の共同開発も行います。

同社としては成長を見せる代替プロテイン分野に進出し、新たな領域でイノベーションの創出を目指しています。

参考記事:
ProteinDistillery and NETZSCH Partner to Advance Egg-Like Prew:tein from Upcycled Brewer’s Yeast
ProteinDistillery Launches Customizable Vegan Protein from Upcycled Brewer’s Yeast

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