De Novo FoodlabsとEFFV、精密発酵ラクトフェリンのスケールアップを目指す合弁事業を開始

米国のベンチャーキャピタルEarth First Food Ventures(以下、EFFV)が、精密発酵によるウシラクトフェリンの生産を拡大するため、De Novo Foodlabsとの同額出資による合弁会社「PFerrinX26」を設立しました。
施設立ち上げに向けコンソーシアムを結成
EFFVは、今後10年以内に年間300トンのウシラクトフェリンを生産できる施設の立ち上げを目指し、大手乳業メーカー、デキストロース(ブドウ糖)供給業者、CPG企業、原料メーカーなどとのコンソーシアムを結成しています。
南アフリカに研究開発拠点を持ち、米国で事業展開を進めている精密発酵企業のDe Novo Foodlabsは、高収量のラクトフェリンを得られる酵母株を開発し、その技術を拡大するためのパートナーを探していたとのこと。
CEOのJean Louwrensは、「当社は現在、30〜100リットルのバイオリアクターを用いるパイロットスケールにあり、米国での市場化に欠かせないGRAS申請を行うため500リットルのリアクターに焦点を当てている。年内にもより大規模な生産へと移行するにあたり、1,500リットルに到達することが必要だ」と述べています。
持続可能な生産手法で、希少原料の課題を克服
哺乳類の乳に含まれるタンパク質ラクトフェリンは、免疫力の向上、鉄分調整、消化器系の健康といった有益な働きがありますが、牛乳から単離するコスト(1kg生産するのに1万リットル以上が必要)と難しさのために、歴史的に希少な原料となってきました。
従来の酪農生産より持続可能で倫理的な代替手段となる精密発酵では、この供給不足に対処することができると目されており、Vivici、All G、TurtleTree、Helaina(ヒトラクトフェリン)などの企業が開発を行っています。
EFFVはこれらの企業とは異なり、生産を契約企業に頼るのではなく、品質とコスト効率をよりコントロールしやすい自社施設を立ち上げる計画。ターゲットとしては、化粧品と成人向け栄養のセグメントから始め、将来的に乳児用粉ミルクも視野に入れるとしています。
CEOを務めるBrian Ruszczykによると、ラクトフェリン生産の現状については異なる予測があるものの、世界中に42の施設があり、年間生産量は約850トン。中でもアジアで最も多い年間170トンが生産されており、今後10年間で市場は優に3倍を超えるとの見立てです。
「乳業会社が牛乳からラクトフェリンを精製するにはキロ単価300ドル(約43,000円)かかるが、当社ではこのままいくとそう遠くない将来にその価格を下回ることになるだろう。当社は競争力を持つと同時に、精密発酵業界のほかのプレイヤーと共に新たな供給源をもたらすことで、業界を拡大させられる」と語っています。
参考記事:DeNovo Foodlabs and EFFV create JV to scale lactoferrin via precision fermentation
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