米Ruby Bioがクリーンラベル乳化剤の発酵生産でブレイクスルーを達成

米国・カリフォルニア州に拠点を置くRuby Bioが、クリーンラベル乳化剤の生産において1リットルあたり100gを超える発酵力価を達成し、低コスト大規模生産に向けた道を開いたと発表しました。
クリーンラベルを実現する天然由来の乳化剤
力価とは、発酵液1リットルあたり得られた製品の濃度を示す指標であり、バイオテクノロジー産業における生産の経済性を左右する主要な要素。力価が高いほど、後工程のコストとスケールアップ時の設備投資額を削減できます。
これまで複雑な脂質ベースの分子で1リットルあたり100gという力価を達成することは稀であり、特殊原料の発酵プロセスでは、このレベルをはるかに下回るケースがほとんどでした。
モノグリセリド、ジグリセリド、ポリソルベートなどに代表される合成乳化剤は、食感の向上や品質の安定に欠かせない原料として使われてきましたが、昨今では食品業界の多くの分野でクリーンラベルが求められるようになり、天然由来の代替品への需要が高まってきたところ。
Ruby Bioが引用したデータによると、世界の食品乳化剤市場は2024年に約40億ドル(約6,350億円)規模に達し、2034年までにほぼ倍増すると予測されており、中でも天然由来および植物由来の乳化剤が最も急速に成長する分野とされています。
しかしながら、大豆レシチンをはじめとする天然乳化剤は、ベーカリー製品、飲料、スナック菓子、冷凍デザートといったどの用途においても、合成乳化剤に匹敵する機能性を生み出すのに苦戦しています。
パーム油への依存をなくし、安定供給の実現に期待
Ruby Bioのプラットフォームは、カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)からライセンス供与を受けた非遺伝子組み換え酵母と再生可能な原料を用いて、ほかの天然乳化剤が抱える機能的なギャップを解消しつつ、さまざまな用途に対応できる代替品を生産するもの。
同社は環境とサプライチェーンの観点から、パーム油由来の原料ではなく、砂糖などの再生可能な原料の活用を進めてきました。
ゼネラル・ミルズやペプシコのようなブランドは、責任あるパーム油調達への取り組みを公約していますが、業界全体で完全なトレーサビリティを実現することは依然として困難です。欧州連合(EU)では森林破壊防止規則(EUDR*)の施行によって新たなデューデリジェンスの要件が課せられるという動きもある中、パーム油依存の解消は課題として重要性を増しています。
発酵ベースの生産を進めることで、Ruby Bioは農産物価格の変動に左右されない安定した供給を行い、トレーサビリティの向上が可能に。これにより、パーム油に依存する代替乳化剤に対する商業的な優位性を持ちます。
CEOのCharlie Silverは、「発酵力価はあくまでもマイルストーンであり、ゴールではない。重要なのは、この性能を大規模かつ安定的に実現し、食品メーカーが配合の基盤として活用でき、また消費者が信頼できる製品にすることだ」と述べました。
* 欧州森林破壊防止規則(EU Deforestation Regulation):2023年6月29日発効。大豆、牛肉、カカオ、コーヒー、パーム油、ゴム、木材の7品目およびそれらの関連製品を対象に、生産において森林伐採・破壊が行われていないことを証明できない限り、EU域内への輸入が禁止される。大企業は2026年12月30日、中小企業は2027年6月30日より適用開始予定で、違反者には売上高の最大4%の罰金が科せられる。
参考記事:
Ruby Bio aims to launch “world first” fermentation-derived clean label emulsifiers in 2027
Ruby Bio Reports Fermentation Breakthrough for Clean-Label Emulsifiers as Pressure on Synthetics Mounts


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