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マイクロプラスチック問題に取り組む英Naturbeads、代替となるセルロース系素材でEUから約7.6億円の資金を獲得

英国のスタートアップ企業Naturbeadsが、イタリアにセルロースベースの代替プラスチック素材を製造する新工場を建設するため、EUから410万ユーロ(約7億5,700万円)の助成金を獲得したと発表しました。

マイクロプラスチック問題の自然の解決策


バイオマテリアルの開発を手掛けるNaturbeadsは、欧州で投資家の注目を集めるセルロースをマイクロプラスチックの代替品に加工し、さまざまな製品への活用機会を探っています。

このたび、欧州連合(EU)の資金援助プログラムで、経済・社会開発プロジェクトへの資金提供を行う欧州構造投資基金(ESIF)から、410万ユーロの助成金を獲得しました。

Naturbeadsはイタリアの子会社を通じてこの投資を確保し、若く教育水準の高い労働力と、イノベーションやデジタル化への取り組みで知られる同国南部のプーリア州に新たな生産拠点を設置する準備を進めています。

同社は、同じくプーリア州内に構える最初の商業生産プラントで、技術の検証、製品とプロセスの最適化を行い、最初の顧客への供給を開始したところ。来月には生産の本格化を予定する一方で、高まるバイオプラスチック需要に対応するべく、本格的な商業プラントの設計に着手しています。

CEOのGiovanna Laudisioは、「私たちが提供するのは、マイクロプラスチック問題に対する自然由来の解決策。プラスチックと同等の性能とコストを維持しながら、問題の根本原因にアプローチするものだ」とコメント。

「この革新的な技術は化粧品に限らず、塗料やコーティング剤、接着剤、洗剤、柔軟剤、さらには医療機器の製造におけるマイクロプラスチックの使用を排除する目的まで、色々な産業で活用できる」と述べています。

EUからの資金は、Naturbeadsの新工場の建設費用の一部に充てられるとともに、今後2年間で本格的な商業化に向けた準備を進めるための研究開発費に使われます。

低コスト、持続可能性、機能性を兼ね備えた生分解性素材


汎用性と耐久性の高さから日用品に広く使われているマイクロプラスチックですが、排水に含まれて海へと流れ着き、何世紀にもわたって分解されずに残ります。さらにこの粒子は、食べ物を通して人間の体内にも存在し、ヒトの健康と地球環境の両方を脅かす存在となっています。

この問題に対処するため、2018年にバース大学からスピンアウトしたNaturbeadsは、植物を構成する世界で最も豊富なポリマーで、生分解性のあるセルロースを活用。同社の特許プロセスは、環境に優しい溶媒を用いてセルロース繊維を溶解し、化学構造を変えることなく完全に球状で均一なビーズへと再成形するものです。

溶媒化学と膜乳化法* および相転換による膜成形を組み合わせることで、粒子サイズ、表面のテクスチャー、多孔性を完全に制御できるプロセスを構築しました。

最大限の効率性を追求したクローズドループ戦略によって、プラスチックと同等の特性を低コストで実現。すべての溶媒は回収・再利用され、廃棄物とエネルギー消費を最小限に抑えています。

化粧品分野では、球状の形状、なめらかな表面、高い安定性により、増粘剤、風味増強剤、皮膜形成剤としてプラスチックを代替。塗料やコーティング剤においても、マイクロプラスチックが持つ弾力性、耐擦傷性、厚膜形成能、固形分含有量の増加といった特性を再現できます。

さらに、その硬度や多孔性により、ガラス容器、接着剤、土木工事の掘削液への応用も可能なほか、ライフサイエンス分野では生体触媒やワクチン開発などの用途において、細胞を培養する際の基質や酵素の担体として利用できます。

* 微細な孔が無数に開いた膜を通して水と油を混ぜ合わせ、乳化を行う手法。

EUではマイクロビーズを含んだ化粧品が禁止に


Naturbeadsの技術は、セルロース以外のバイオポリマーや無機材料にも応用が効き、カプセルや生分解性粒子の開発への道を開くと期待されています。

同社はオランダ企業のChiralVisionと協力して、酵素固定化のための担体プロトタイプの開発・試験を実施。また、英国に拠点を置くCellular Agricultureとも協力し、培養肉生産において細胞の付着・増殖・分化を促すマイクロキャリアの試験を行ってきました。

さらに、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)およびドイツのAIスタートアップVitafluenceと提携して、セルロース製マイクロビーズをベースとした、熱安定性に優れた新規ワクチン製剤の開発にも取り組んでいます。

石油由来のプラスチックは分解に20〜500年かかり、世界の温室効果ガス排出量の3.4%を占めています。そして、2060年までには生産量が3倍になると予測されているため、この割合はさらに増加する見込み。リサイクルが難しいため最終的には埋立地に送られ、そこからマイクロプラスチックが土壌や水源に漏れ出す恐れがあります。

EUではさらなる汚染を防ぐ目的で規制の改正が進められており、来年10月にはマイクロビーズを含んだ「洗い流す」タイプの化粧品、2029年10月には「洗い流さない」タイプの化粧品(同じくマイクロプラスチック汚染の一因となっている)が禁止となる予定です。

こうした状況を受けて、セルロースベースの持続可能な代替素材を模索する企業が台頭しており、スイスの企業Seprifyは先日、食品・化粧品分野で着色料として使われる二酸化チタンの代替に向けて、1,225万スイス・フラン(約24億7,000万円)を調達。

フィンランドのElea & Liliは、紙おむつや農業向けの代替素材を展開するため、250万ユーロ(約4億6,200万円)の資金調達とともにステルスモードから脱却しました。

参考記事:
Naturbeads secures £3.6m to set up Italy production plant – UKTN
Naturbeads secures €4.1 million in EU funding to curb microplastic pollution with biodegradable microbeads | EU-Startups
Naturbeads Gets €4.1M EU Funding to Replace Microplastics with Cellulose Materials

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