米The EVERY Company、ウォルマートへの製品導入に続き約84.8億円の資金調達に成功

米国の精密発酵スタートアップThe EVERY Companyが、シリーズDラウンドの資金調達で5,500万ドル(約84億8,000万円)を確保したと発表しました。
今年3番目に大きな調達ラウンドが実現
本ラウンドは既存投資家のMcWin Capital Partnersがリードインベスターを務め、Main Sequence、Bloom8、Minerva Foodsなどの多様な投資家が参加。
2025年に代替プロテイン分野の企業が調達した資金としては3番目(Beyond Meat、Nxtfoodに次ぐ)に大きな額を記録し、The EVERY Companyの調達総額は2億8,800万ドル(約444億円)に達しました。この資金は、生産能力の拡大、より広い分野への拡大、そして事業の収益性向上に充てられる予定です。
同社のアニマルフリー卵タンパク質は、すでにスムージー、ジュース、抹茶、代替肉など複数の製品に採用されています。2023年末には、Daniel Hummが経営するニューヨークのミシュラン3つ星レストラン「Eleven Madison Park」で、一夜限りのディナーの主役も務めました。
さらに、今月からは米国内のウォルマート全店舗で販売されている製品にも採用され、展開規模が大幅に拡大しています。
McWin Capital Partnersでフードテック部門の責任者を務めるMartin Davalosは以前の取材で、「EVERYは、概念実証のパイロットプロジェクトの段階から実証へと一歩を踏み出し、世界の大手食品企業数社に数トン規模で製品を販売している。まさしく今後10年間の食品生産を定義するプラットフォームだ」と評価しています。
18カ月間保存可能な粉末代替卵原料
鳥インフルエンザの脅威と価格高騰が消費者や製造業者、外食産業を直撃する中、The EVERY Companyの精密発酵技術は、従来の卵タンパク質に代わって供給不足の穴を埋める代替品として、大きな注目を集めています。
現在は、卵白の代替として機能する「OvoPro」、各種食品・飲料用途向けのニュートラルなタンパク質「OvoBoost」を展開。これら2製品に加えて、食品加工や健康食品向けの消化酵素として機能するアニマルフリーペプシンについても米国食品医薬品局(FDA)の認可を受け、販売を認められています。
昨年にはLandish Foodsと提携して、機能性コーヒー&ラテミックスを販売するブランド「Fermy」を共同で立ち上げ。今年は、新たなホワイトラベルブランド「Dash」の下、無糖プロテインシロップを発表しました。
共同創業者でCEOのArturo Elizondoによると、食品企業からの大きな需要を受けて現在は主に「OvoPro」に注力し、特にベーカリー分野を優先しているとのこと。
同社の粉末原料は18カ月間保存がきき、コストのかかるコールドチェーンを必要としないため、冷蔵の液体卵に依存しているベーカリー業界にとって大きなメリットを発揮します。
Elizondoは、市場の適合性についてはもはや疑いの余地はないといい、「顧客にとってメリットのある製品を、実際に商業規模で安定して生産し、マス市場向けに販売している。技術はよく機能し、顧客もそれを求めており、非常に大きな市場の可能性がある。これが投資家を納得させた要因だ」と語っています。
参考記事:
The Every Company raises $55m to scale precision-fermented egg proteins | New Tech Foods
The Every Company Bags $55M in Funding As Animal-Free Egg Protein Hits Walmart
The EVERY Co raises $55m to scale egg proteins via fermentation, crosses line ‘from promise to proof’


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