TurtleTreeがコーヒー飲料メーカーとの販売契約を締結、認可から1年で3社目の提携に
精密発酵ラクトフェリンを開発するTurtleTreeが、同じシンガポールのスタートアップ企業MAD Foodsとの提携を発表しました。2025年半ばに「LF+」を原料に用いた缶コーヒー飲料の発売を目指します。
昨年の認可後、3社目の提携が実現
TurtleTreeは1年前のGRASステータス取得後、米国でCadence Cold BrewやStrive Nutritionとの提携を進めてきましたが、シンガポール国内で実現したパートナーシップは今回が初。
2019年に創業したMAD Foodsは、シンガポールとマレーシアで乳製品やアレルゲンフリーの缶コーヒーを展開し、近くオーストラリアにも進出を計画。
TurtleTreeのラクトフェリン「LF+」をオーツミルクラテの製品ラインに統合することで、免疫機能のサポートや腸の健康、鉄分補給の効果を得て、機能性強化を図ります。
この新製品は、現在進めている規制当局の認可プロセスを経て、2025年第2四半期に発売を予定。精密発酵ラクトフェリンに対してシンガポール食品庁(SFA)が販売を認めた事例はまだなく、初の認可取得へ期待がかかります。
なお、先に提携している2社との共同開発製品は、2025年第1四半期に正式に発売する予定です。
希少原料ラクトフェリンの供給を拡大
1万リットルの牛乳からわずか1kgしか生産できないという希少性から、恒常的な供給不足が生じているラクトフェリン。
その用途は乳児栄養(供給の60%を占める)とサプリメントにほぼ限定されている状況ですが、TurtleTreeが目指すところは、スポーツ栄養、女性の健康、成人・高齢者向け栄養などの分野への供給増加。精密発酵の技術開発を進め、ウシラクトフェリンと価格で競合するところまで生産規模を拡大することに成功しました。
共同創業者でCEOのFengru Linによると、同社の顧客は今後5年間で5億ドル(約774億円)相当の購入に関心を示しているといいます。
ラクトフェリン開発に焦点を当てるその他の代替プロテイン企業には、オーストラリアのAll GとNoumi、米国のHelainaとDe Novo Foodlabs、ニュージーランドのDaisy Labなど。Daisy Labはこれまで乳清(ホエイ)タンパク質をターゲットとしてきましたが、精密発酵のコストとスケーラビリティの課題を考えた結果、投資対効果を高めるべくラクトフェリンへの多角化を決断しました。
TurtleTreeのLinは、「この市場が爆発的に成長すると信じているが、欧米市場ではラクトフェリンについて良く知っている消費者はまだ多くない。そのため、他のプレーヤーとともにカテゴリーを創造していきたい」と話しています。
既存のラクトフェリン生産者とも対話を重ねる
Linは2025年の計画について、「既存のラクトフェリン生産者であるさまざまな関係者と、戦略的な話し合いを重ねている。菌株やプロセス開発、製造に関するノウハウを持っている企業もあれば、カナダや日本、ブラジル、コロンビアなど、特定の市場に関する知識を持っている企業もある」とコメント。
生産、販売、規制面での支援で合弁事業を立ち上げる可能性も視野に入れ、需給ギャップが生じている中でラクトフェリンへのアクセスを広げるべく、戦略的パートナーシップを構築していきたい考えです。
「次の1年で、規制目標や、パートナーとの製品が店頭に並ぶスケジュールがより明確になるだろう。消費者はより多くのことを学ぶと同時に、この成分を日常生活に取り入れることができるようになるはずだ」と語っています。
参考記事:
TurtleTree Announces Formal Partnership with Singapore-Based Future-Focused CPG Company MAD Foods; Launching Coffee Line with LF+ Mid-Year 2025 – TurtleTree
Singapore Startup Strikes Deal to Launch Cow-Free Dairy Protein in Functional Coffee Drinks
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