マイコプロテインを手掛けるカナダのMaia Farms、プレシードラウンドで約3.5億円を調達

カナダ・バンクーバーを拠点とするMaia Farmsが、プレシードラウンドで230万ドル(約3億5,200万円)の調達を行ったと発表しました。
リードインベスターを務めたのは、Joyful Ventures、PIC Investing Group、そしてKoan Capital。Maia Farmsは並行して、Canadian Food Innovation Network、カナダ国立研究機構(NRC)、カナダ宇宙庁(CSA)など複数の機関からも助成金を受け取っています。
食用キノコの菌糸体で高収量を実現
Maia Farmsは、Gavin Schneider、Ashton Ostrander、Sean Lacoursireの3名が、倫理的なタンパク質の「農場」を目指して2021年に設立した企業です。
QuornやENOUGHのフザリウム属菌や、Nosh Biofoodsの麹菌、Meati FoodsやThe Better Meat Co.のアカパンカビなど、バイオマス発酵ではさまざまな菌株が用いられていますが、Maia Farmsでは、何世紀にもわたって広く食されてきたキノコの菌糸体を活用。
具体的には非公開としていますが、ほかの種に比べて「極めて高い収量」が実現できているといい、さらに農業副産物として出た糖を栄養分に再利用できる点でも優位性があるとのこと。
CEOのSchneiderは、この生産プラットフォームを拡大すれば「急速に拡大するマイコプロテイン分野において、ほかのプレーヤーよりも優位に立てる可能性がある」と主張しています。
発酵後に乾燥させて得られるマイコプロテイン原料は、栄養価と持続可能性に優れ、食品の味と食感を「劇的に」改善。66%のタンパク質のほか、食物繊維、カルシウム、牛肉の5.5倍の鉄分を含み、代替肉、プロテインバー、スナック菓子など幅広い食品に利用ができます。
同社は現在、このマイコプロテイン原料と植物性タンパク質をブレンドした製品「CanPro」を北米の食品メーカー向けに販売しており、Big Mountain Foodsのミートボールやバーガーパティなどに使われています。
生産規模の拡大により十分な収量が得られるようになれば、2025年までにはマイコプロテイン単体での製品化も行う計画です。
宇宙での食料供給プロジェクトにも参画

Maia Farmsは先日、同じカナダ企業のEcoation Innovative Solutionsとの共同で、マイコプロテインと農産物を小型のモジュール式ユニットで栽培できるシステムを開発(左写真)。カナダ宇宙庁とImpact Canadaが主催する「Deep Space Food Challenge」でグランプリを獲得しました。
この装置には、LED照明を調節できる水耕栽培や気耕栽培で、ミニトマト、イチゴ、レタスなどの作物を育てる4つのチャンバーがあり、バイオリアクターが入った5つ目のチャンバーでバイオマス発酵を行い、菌糸体を育てます。
ユニット全体はタンスほどの大きさながら、年間700kgの食料を生産することが可能。宇宙で宇宙飛行士の栄養源を確保したり、地球上で最も隔離された地域の人口を維持したりするための活用が見込まれています。
参考記事:
Brief: Maia Farms raises $1.7m in pre-seed round to expand mycelium production
To boldly go… fueled by mycoprotein & greens: Maia Farms and Ecoation win Canadian grand prize in Deep Space Food Challenge
CANGrow™ Wins the Deep Space Food Challenge’s Grand Prize For A Sustainable Food System That Could help Sustain Life On Moon Or Mars
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