米MyForest Foodsが菌糸体ポークの市場拡大に向け、シリーズAラウンドで20億円超を調達

ホールカットの菌糸体ポーク「MyBacon」を製造・販売するMyForest Foods(旧称:Atlast Food Co)が、シリーズA-2ラウンドで1,500万ドル(約20億5,500万円)を調達したと発表しました。

経験豊富な新CEOを招聘


今回の資金調達は、2019年にスピンアウトした親会社のEcovativeからのもの。これにより、ニューヨークをはじめ米国東海岸全域での小売り・外食産業への提供拡大に投資するとしています。

資金調達の発表と同時に、食品業界での経験が豊富なGreg Shewchukを新たなCEOとして招聘。

Shewchukは、2022年後半にネスレが買収した食物アレルギーの予防を手掛けるSpoonfulONEの前CEOであり、Campbell Soup Company、Mead Johnson Nutrition、Mondelēz Internationalなどで幹部を歴任した人物です。

MyForest Foodsの共同創業者であり取締役会長のEben Bayerは、「主力製品であるMyBaconの可能性と消費者の需要が証明された今こそ、商業規模への移行に向けて、経験豊富なリーダーを迎える時だと感じた」と語りました。

バイオリアクターも使わない低コスト製法


同社のMyBaconは現在、Fairway MarketやGourmet Garageなど、米国北東部の100以上の小売店で展開。サステナブルな植物性食品に対する消費者の需要の高まりに応える形で、市場における存在感を高めています。

MyForest Foodsは、ニューヨーク州にある生産施設で菌糸体を生産。バイオリアクターで菌糸体を育てるMeati Foodsのような競合他社とは異なり、「前処理を施した広葉樹チップを敷き詰めたベッド」で菌糸体をプレート状に育てているといいます*1

収穫された菌糸体肉のプレートは、近くの加工施設でスライスされてベーコンに。仕上げにココナッツオイルをかけて、包装・製品化されます。

Bayerは、ウッドチップの調達や、菌糸体にとって適切な生育環境の維持(光が要らない代わりに、空気の循環とある程度の水分が必要)など、生産プロセス中のいくつかの段階でエネルギーコストが発生することを認めています。

それでもウッドチップは、微生物発酵による代替肉のメーカーが原料として用いている糖類よりも安価であり、食用作物と競合することもないといいます。キノコの栽培施設にあるような大きなトレイがあれば十分で、高価なバイオリアクターが不要な点も魅力。

TIME誌やFast Company誌からも、今日の食品市場で最も革新的な発明の一つと評価を受けています。

今後の動きとしては、提携するカナダのWhitecrest Mushroomsが運営する施設などにも、菌糸体肉の原料(菌糸を植え付けたウッドチップ)供給を考えており、自社施設を新しく作る予定はないとのこと。

また、菌糸体を使った製品の第2弾として、MyBaconとは異なる風味付けのシステムと水分量で仕上げたビーフジャーキーの代替品、MyJerkyの発売も計画しています。

*1 https://agfundernews.com/my-forest-foods-raises-15m-in-series-a-2-funding-hires-new-ceo

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