米Fermeate、光遺伝学を用いて精密発酵の経済性に飛躍的な変化をもたらす技術で約3.1億円を調達

バイオ製造における細胞の生産性を光で飛躍的に向上させる技術を開発する、米国・カリフォルニア拠点のスタートアップ企業Fermeateが、シードラウンドで200万ドル(約3億1,400万円)の資金調達を完了したと発表しました。

設備投資を最小限に抑えながら、生産能力を2〜3倍に


Newfund Capitalが主導したこのラウンドには、SOSVや味の素グループベンチャーズ、Ki Tua Fund、Heuristic Capital Partnersなどが出資しており、獲得資金は、既存の工業用発酵システムに容易に組み込めるFermeateの技術の規模拡大に役立てられます。

プリンストン大学で光遺伝学(オプトジェネティクス)の研究に従事した後、2024年にSaurabh Malaniと共同で同社を創業したCEOのKevin Xuは、「これまで発酵業界は、コスト削減のため主に生産能力の増強に頼ってきた」と指摘しました。

一方、同社のシステムでは設備投資を最小限に抑えられ、第三者機関による技術経済性分析に基づくと投資回収期間は平均11カ月未満。これにより、「規模を拡大することなく利益率を向上させたい企業を支援できる」としています。

現在、同社はグローバルな食品・原料企業4社と提携して、6カ月以内にタンパク質生産量を最大3倍に増加させており、今後さらに最大10倍の改善も期待できるとのこと。

具体的なメリットの例としては、より安価な代替原料の活用(ブドウ糖から乳製品製造の副産物への切り替えなど)、無毒性誘導(メタノールなどの化学誘導剤の代わりに光を使用)によるタンパク質収量の向上、フェドバッチ式* から半連続式への移行による効率化、そして遺伝子変異の防止が挙げられます。

「顧客が解決しようとしている問題によって用途は異なるものの、最終的には発酵の生産性を向上させることがすべてだ。生産能力を新しく構築するには莫大な費用がかかるが、当社は既存の能力を2倍、3倍に増やす支援ができる」とXuは語りました。

* 発酵途中で栄養分を添加して、栄養を枯渇させずに微生物を増殖させる手法。単純なバッチ式生産に比べて培養期間を延ばせ、完全に生産サイクルを止めない連続式に比べて操作が簡単。

光で細胞の挙動を緻密に制御


動物、植物、微生物が自然に持っており、光を吸収して生物学的反応を引き起こす光感受性タンパク質(LSP)。Fermeateはこの相互作用を理解し、微生物の発酵における細胞生産性を飛躍的に向上させました。

これは2段階のプロセスで、まずLSPを導入してあらゆる菌株を光で制御できるようにし、次に発現させたいDNA配列の目印となるプロモーターを導入して、酵素やタンパク質を正確に標的化します。

LSPを含む細胞に特定の波長の光を照射することで、対象の遺伝子を活性化または不活性化し、細胞の挙動を精密かつ動的に制御。人工知能(AI)と機械学習を用いて、目的の効果を得るためにはどの光パターンをいつ照射すべきかを特定しています。

バイオ製造業界は長年にわたり、菌株や培地、プロセス設計の改良と最適化において進歩を遂げてきましたが、Xuによると「高度に最適化された微生物でさえ、通常の生産工程において生産性を最大50%も低下させる可能性がある」とのこと。

「タンパク質合成は、RNAを作り、タンパク質を作り、修飾し、折り畳み、そして輸送するという、いわば組み立てラインのプロセスだ」と説明し、「組み立てラインの途中でボトルネックに遭遇する場合があるが、ラインを動的に最適化してボトルネックを回避すれば、細胞の生産性を維持できる」としています。

Fermeateの最近の提携事例では、発酵生産量を60~300%増加させられたとの結果が得られており、この技術は、従来型・非従来型の酵母や細菌種を含む、産業用途で広く利用されている宿主のほとんどで有効性を検証済みです。

同社によると、発酵タンクと光照射を行う外部装置の間をパイプで連続的に循環させる仕組みが鍵だといい、新しいバイオリアクターを設置するよりもはるかに低いコストで既存のステンレス製発酵タンクを改造できるため、企業は同じ設備投資で生産量を増やすことが可能に。

「バイオ製造の課題は、生物を扱うので制御が非常に難しい点だ。現状では、こうした生物を制御するツールが不足しているが、この制御レイヤーを適切に構築できれば、バイオ製造でもその他あらゆる製造業と同等の効率性を実現できるだろう」とXuは述べています。

参考記事:
Ki Tua Fund | LinkedIn
Fermeate raises $2m to deliver “step change” in precision fermentation economics with optogenetics
California Startup Fermeate Closes $2M Seed Round for Light-Based Fermentation Control Technology

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