アフリカ初の培養肉企業がNewform Foodsに社名変更、高効率プラットフォームで生産拡大へ

南アフリカの培養肉企業Mzansi Meatが、Newform Foodsへと社名を変更。同時に、培養肉の生産を加速させる費用対効果の高い生産プラットフォームを開発したと発表しました。

独自の生産プラットフォームを構築


伝統的なアフリカ料理に特化した製品開発を目的に、2020年にアフリカ大陸初の細胞農業企業として立ち上げられたNewform Foods。2年間の研究開発の末、昨年培養ビーフバーガーの生産に成功しました。

南アフリカに研究開発拠点を持ちながら、今年英国にも事業所を開設。将来的にはミンチ、ソーセージ、ステーキ、ナゲットなど多様な製品を生産する計画で、小売業者、食品メーカー、食肉会社と初期段階の話し合いを進めており、同分野のリーダー企業に対して協業を呼びかけています。

アジア企業Brincのアクセラレータープログラムを終了し、昨年のプレシードラウンドで13万ドル(約1,900万円)調達。Wild EarthのCEO、Ryan Bethencourtを含む国際的な投資家の注目を集めました。

同社の生産プロセスは、地域の農業システムにしっかりと根ざしているのが特徴。地元の農場保護区で獣医によって動物から採取された細胞を使用し、分離した細胞を培養します。独自に構築した生産プラットフォームにより、ラボから市場化までの道のりを簡素化し、培養肉生産にかかるコストと時間を大幅に削減できると主張しています。

アフリカ培養肉セクターの現状


アフリカの人口は、2050年までに13億人から25億人に増加し、世界人口の4分の1を占めるようになると予想されています*1。現在のところ、アフリカで細胞農業に取り組んでいるのはわずか2社。Newform Foodsのほかには、昨年アフリカ初の培養チキンを発表した、同じ南アフリカのWildBio(旧称:Mogale Meat)のみとなっています。

人口増加に伴い食肉需要の急増が危惧される中、2021年10月に行われた消費者調査によると、南アフリカ人の67%が培養肉を食べることに「非常に興味がある」と答え、さらに59%が培養肉製品を購入する可能性が「非常に高い」と答えました。それだけでなく、30%が培養肉製品により高いお金を払うことにも前向きだと答えています。

人口一人あたりの牛肉消費量が世界9位、鶏肉では世界11位と、アフリカの中でも食肉消費の多い同国ですが、このデータを見る限り培養肉製品を受け入れる土壌は整っているとも考えられます。

また、培養肉開発が影響を及ぼし得るのは、ハイエンド市場だけではありません。世界銀行のデータによると、人口の4分の1が食糧難に陥っており、半数以上が貧困ラインを超えている南アフリカ。従来の肉より安価な地元産の培養肉を多数の貧困層向けに供給し、より良いフードシステムを構築することが期待されます。

*1 https://www.theguardian.com/global-development/2022/jan/20/by-2050-a-quarter-of-the-worlds-people-will-be-african-this-will-shape-our-future

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