精密発酵カゼインを手掛けるThose Vegan Cowboys、ドイツのチーズメーカーHochlandとの共同開発契約を締結

精密発酵カゼインを使用したアニマルフリーチーズを開発するベルギーのThose Vegan Cowboysが、ドイツのチーズメーカーHochland Groupとの共同開発契約を締結したと発表しました。

牛由来ではない乳タンパク質をセミハードタイプやハードタイプのチーズの原料として活用することに重点を置きます。

健康と環境に良い代替チーズ開発へ


精密発酵により開発された微生物由来のカゼインは、従来の動物由来のカゼインの機能的特性(溶け、伸びなど)を再現し、同時に環境的なメリットももたらすもの。

Those Vegan Cowboysによると、この生産手法は資源の利用効率が高く、従来の酪農に必要な土地と水を5分の1に削減可能。また、CO₂排出量を80%削減し、メタンの排出は全くありません。

植物性脂肪と組み合わせることで、飽和脂肪酸、乳糖、コレステロールを含まない健康的な代替チーズを作ることができます。

Hochland Groupは、ファミリー企業としては欧州最大級のチーズメーカーで、2023年の売上高は22億5,000万ユーロ(約3,690億円)、販売量は41万3,800トン。全世界で約6,100人の従業員を擁し、代表的な「Hochland」のほか、植物由来の専用ブランドとして「Simply V」を展開してきました。

同社CEOのHubert Staubは「乳製品をベースとした事業は今後も中核事業として続けていく」とした上で、「より多くの人々が、さまざまなスタイルの栄養を選ぶようになっている。代替品への需要もあり、消費者に最高の品質を提供したいと考えたとき、精密発酵乳タンパク質は素晴らしい解決策になるだろう」と語っています。

米国での認可申請と製品化を予定


Those Vegan Cowboysは、「チーズ製造のノウハウと市場における大きな影響力を持つHochland Groupは、当社のカゼインを用いたチーズを広く世に送り出す上で理想のパートナーだ」と述べています。

農家出身の創業者の下、経営陣のほとんどが同じバックグラウンドを持つ同社は、農家を今後の重要なパートナーとみなしており、昨年から複数のチーズ製造業者と協力してきました。

同社のカゼインがラボスケールのさまざまな状況下でどのような機能性を発揮するかを調べてきた中で、特定の条件下では牛由来のカゼインを上回る結果が得られたと明かしています。

精密発酵カゼインは新規食品(Novel Food)に分類されるため、市場参入には規制当局の承認が必要です。Those Vegan Cowboysは今年米国で認可申請を実施し、年内に製品を発売する予定。

続けてすぐにアジアへの進出も計画しており、欧州市場への参入は3〜4年以内を見込んでいます。この準備のため、今年オランダで初の代替チーズ試食イベントを開催する予定です。

参考記事:
Hochland Group Partners with Those Vegan Cowboys to Develop Animal-Free Cheese Using Microbial Casein
Hochland partners with Those Vegan Cowboys to test cow-free casein in cheese development | The Cell Base

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