ヴィーガン認証団体V-Labelが、細胞培養食品の新たな認証「C-Label」導入を発表

ヴィーガン・ベジタリアン食品に対する認証を行うことで世界的に知られる団体V-Labelが、細胞培養食品に関する業界初の認証制度「C-Label」を導入すると発表しました。
生産者に高い要求を課す認証要件

「C-Label」の対象となるのは、管理された環境下で動物細胞を増殖させることにより生産された培養物のみで構成された製品、またはそれに100%ヴィーガンの原材料のみを加えた複合製品。
この制度は、生産者が透明性と生産上の慣行に関する基準を満たしていることを確認するのが目的で、規制当局の承認に代わるものではありません。製品の販売にあたっては、該当する市場で別途認可の取得が必要です。
製品がC-Label認証を受けるには、次のような条件を満たすことが求められます。
- アニマルフリー培地:細胞への栄養分供給にウシ胎児血清(FBS)などを用いず、アニマルフリーの培地を使用すること。
- 動物福祉:動物を必要とする処置、特に生検のような侵襲的なものは明らかに必要なものに限り、動物に苦痛やストレスを与えないこと。調達や生産の過程で動物を殺してはならない。
- GMOフリー:最終製品が遺伝子組み換え作物でないこと。生産過程で遺伝子組み換え作物を使用することは構わない。
- 抗生物質、病原体など:抗生物質を使用しておらず、病原体(サルモネラ菌、大腸菌など)が含まれない製法を採ること。また、重金属やプラスチックもほとんど含んでいてはならない。
- 細胞の抽出と利用:動物からの細胞抽出は可能な限り制限し、十分な根拠がなければ行わないこと。現在認められているのは不死化細胞のみであり、再サンプリングは最小限にとどめなければならない。
製品の信頼性と受容性を高める制度に
C-Labelの立ち上げには、英国を拠点に培養ペットフードを開発するスタートアップ企業のMeatlyがパートナーとして参画。ペットフード用に開発され、昨年英国で初の販売認可を取得した同社の培養鶏肉が、C-Label認証を受けた世界初の製品となりました。
認証製品は、動物由来の分子を含むため、従来の「ヴィーガン」や「ベジタリアン」といった分類が不可能。しかしながら、V-Labelの根底にある同じ理想がC-Labelにも反映されており、動物福祉に関心のある消費者にとって理想的な選択肢とされています。
この認証の導入により、培養肉の生産工程に対する消費者の理解度や、製品の信頼性・受容性を高めることが期待されます。
V-Labelの創業者Renato Pichlerは、「細胞農業の分野では技術の発展が非常に早いため、企業は技術の流出を恐れて生産方法を秘匿する。ここで、生産を監視する独立した認証制度が存在することは、消費者にとって有益だ」とコメント。
「高い基準を設定し業界全体の協力を促進することで、培養肉の受容を加速させ、より持続可能で倫理的な食の未来に貢献できると信じている」と語っています。
参考記事:
C-Label launched as a new certification for cell-based food production – C-Label
V-Label Introduces C-Label, a New Certification for Cultivated Food Products
The C-label: Paving the way for trust and transparency in cultivated meat | The Cell Base
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