SuperMeatが培養鶏肉のライフサイクルアセスメント結果を公表、カーボンフットプリントは約半分に

イスラエルの培養肉スタートアップSuperMeatが先月、同社の100%培養鶏肉と持続可能な方法で生産された従来の鶏肉を詳細に比較分析した、ライフサイクルアセスメント(LCA)の結果を公表しました。

カーボンフットプリントを約半分に低減


今回のLCAは、SuperMeatのパイロットプラントで現在行われている連続生産プロセスに基づき、第三者機関であるオランダの調査会社CE Delftにより実施されたもの。

SuperMeatの培養鶏肉を大規模に生産した場合に予想される環境への影響を評価し、2030年代初頭に目指す野心的なベンチマークとして挙げられている最も持続可能な養鶏手法により生産された鶏肉との、詳細な比較分析を行っています。

報告書によると、SuperMeatの培養鶏肉は、持続可能な養鶏と比較しても、CO₂排出を47%(再生可能エネルギーを使用した場合)、土地利用を90%、飼料の必要量を68%削減できるとのこと。

また、従来どおりの電力に依存した場合であっても、カーボンフットプリントが27%削減されるという結果が得られました。

同社製品のカーボンフットプリントの大部分(72%)は培地に起因するもので、残りの8%はエネルギー、20%はその他の消耗品由来となっています。

現在入手可能な動物性タンパク質の中では最も炭素効率性の高いとされてきた鶏肉ですが、培養肉への移行により、さらに劇的に改善できる可能性があることが示されました。

連続生産で収率を劇的に向上


SuperMeatのCEOを務めるIdo Savirは、「食肉生産の効率化はもはや目標ではなく、必要不可欠なもの。効率性と持続可能性を追求する当社のパイロットプラントでは、環境フットプリントを低減しながら収率を劇的に向上させられる可能性を示すことができた」と語っています。

同社のデータによると、連続生産プロセスはフェドバッチ式* の最大9倍という大幅な高収量を可能にし、エネルギー効率も向上。その上、細胞密度を高め、培地の再利用も進めることで、優れた飼料要求率(FCR)を実現しています。

今後は、再生可能エネルギーの導入促進、持続可能なサプライチェーンの確立、そして生産プロセスの改善に重点を置きながら、大規模生産施設を計画する上での指針として今回の分析結果を活用する計画です。

同社は昨年9月に、ユダヤ教の戒律に基づく食品認証制度「コーシャ」認証を取得。厳しいコーシャ基準に適合していることが確認され、培養肉では初めての認可を得ました。

味の素株式会社からも出資を受け、米国での工場建設や欧州での販売認可取得などを計画しながら、商用化に向けた歩みを進めています。

* 培養途中で栄養分を添加して、栄養を枯渇させずに細胞を増殖させる手法。流加培養とも。

参考記事:Life Cycle Analysis – SuperMeat

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