米Puretureが乳タンパク質より低コストを謳う植物性カゼインを開発

米・ニューヨークを拠点とするバイオテクノロジー企業のPureture(旧称:Armored Fresh Technologies)が、酵母菌の伝統的な発酵を利用したアニマルフリーカゼインの開発を発表しました。

伝統的な発酵技術によるクリーンラベル製品


2022年10月に設立されたばかりのPuretureは今年5月、同じくRudy Yooが韓国で設立した植物性乳製品ブランド「Armored Fresh」と切り離すため、ブランドを刷新。「ピュア」と「フューチャー」を組み合わせた社名を新たに冠し、伝統的な液体発酵プロセスを用いた植物由来のカゼイン処方を開発しました。

乳製品の主成分であるカゼインは、安定したエマルジョンを作り、脂肪と水分が分離するのを防ぐことで、牛乳になめらかな舌触りを与えています。こうしたはたらきにより、チーズの溶けや伸びといった特性にも寄与していますが、一般的なヴィーガンチーズはこれを含んでいないものが多く、溶けや伸びの再現が困難という問題がありました。

Puretureの植物性カゼインはこれらの機能をすべて再現できており、デンプンや増粘剤、乳化剤も不要なため、よりクリーンラベル製品*1 に近づけられるといいます。また、精密発酵と異なり、原料や生産工程にも遺伝子組み換え技術を使用しないため、市販前の規制認可プロセスに縛られません

同社によると、カゼインの生産には酵母株の培養、濃縮、タンパク質の分離、乳化機能のテスト、殺菌、乾燥という6つの工程があるとのこと。

同社では細胞株の初期培養に50リットルの発酵タンクを1基、第一工程に500リットルのタンクを3基所有。さらに第二工程には30,000リットルのタンクが3基あり、これにより月産200トン、年間最大2,400トンのカゼインを生産することが可能です。

独自の酵母株で生産コストを低減


Puretureはまた、自社開発した生産効率の高い酵母株を用いる技術と生産工程の改善により、市場平均より低いカゼインの価格を実現しました。酵母の発酵〜タンパク質回収〜乳化の全工程を連続的に行うことで生産コストを抑え、既存の乳製品原料より20〜30%低い価格で供給できるといいます。

同社は、混じりけのない植物性プロテインを使ったクリーンラベル製品こそが食品の未来だと強調。大手乳製品メーカーとの植物性カゼインの共同ブランド化や、世界規模の原料サプライヤーへの納入を目指し、前述の「Armored Fresh」ブランドとも早速コラボレーションを行っています。

Puretureの植物性カゼイン開発は、今年6月に発表を行った、同じ米国のClimax Foodsに次ぐ2社目。カゼイン生産には精密発酵の技術が用いられる場合が多く、こちらは世界各国の企業が開発を進めています。

New Cultureはつい先日、精密発酵カゼインの生産をスケールアップさせ、1バッチあたりピザ25,000枚分のチーズを製造できるだけのカゼインが得られたと発表しました。

もう一つの乳タンパク質であるホエイに注目する企業も多い中、New Cultureの共同創業者Matt Gibsonは、「ホエイはリコッタやクリームチーズのような限られたチーズしか作れないが、カゼインは伝統的なチーズ製造工程を用いてあらゆる種類のチーズを作ることができる」と可能性を語っています*2

*1 遺伝子組み換え原料や食品添加物を含まず、パッケージの表示が明確で分かりやすい食品。
*2 https://www.foodnavigator-usa.com/Article/2021/06/01/Animal-free-dairy-New-Culture-plans-2023-launch-of-Mozzarella-minus-the-cows

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