イスラエルのKokomodo、約1.2億円の資金調達に伴いステルスモードから脱却

細胞農業でカカオとチョコレートの生産を目指すイスラエルのスタートアップ企業Kokomodoが、75万ドル(約1億1,700万円)の調達に伴いステルス状態から脱却しました。

パイロットスケール、次いで商業生産への拡張


チョコレートの将来がますます不確かになる中、Kokomodoは気候変動からカカオを、そしてカカオから気候変動を守るべくイノベーションを起こす、最新のスタートアップとして浮上。

The Kitchen FoodTech Hubおよびイスラエル・イノベーション庁(Innovation Authority)からの投資を受け、食品・飲料、サプリメント、化粧品業界向けに細胞ベースのカカオを生産します。

同社は、中南米で栽培されている高級カカオ豆の細胞を培養して、ラボスケールでの生産に成功。共同創業者でCEOのTal Govrinによると、今回調達した資金を活用してパイロットスケールへの拡張を行い、ひいては従来のチョコレートと同等価格の実現を目指します。

具体的には、「18〜24カ月以内にバイオリアクターで数百リットルを生産し、商業規模に達する」計画を描いているとのことです。

カカオ生産と気候変動の密接な関係


カカオ産業は気候変動によって壊滅的な打撃を受けつつあり、科学者たちは2050年までにカカオの木の3分の1が枯死する可能性があると予測。

異常気象は現にカカオ不足をもたらしており、今年の価格を史上最高値まで押し上げています。2023年1月の価格が1トンあたり2,500ドル(約39万円)以下だったのに対し、今年4月には同12,000ドル(約190万円)を超える価格で取引されました。

最大のカカオ生産国であるコートジボワールでは、1960年以来85%以上の森林が失われ、農家が生産を続けていくには苦しい状況となっています。

また一方では、カカオを生産すること自体が、地球に深刻な影響を与えているという側面も。Our World in Dataによると、牛肉に次いで温室効果ガス排出量の多い食材がダークチョコレートとなっており、カカオ豆の炭素機会費用* は最も高いものの一つに数えられます。

* 食料生産に使われる土地が、本来炭素固定により貯留できていたはずの炭素量

幅広い食品に使えるココアパウダー


CEOのGovrinは、「Kokomodoは、カカオの供給を守りたいという深い情熱から生まれた。細胞農業技術は、消費者の楽しみと地球規模の責任を両立させ、高品質で健康に良いカカオの安定供給を保証するものだ」と語っています。

The Kitchen FoodTech Hubと、テルアビブを拠点とするPlantae Bioscienceとのジョイントベンチャーとして立ち上げられた同社は、この2年間水面下で開発を進めてきました。

最初の製品としては、さまざまな製品に組み込むことができるココアパウダー、次いでココアバターを検討中。チョコレート、飲料、スプレッド、プロテインバーなど、幅広いCPG(消費財)カテゴリーでの利用を想定しています。

市場については、規制面でシンプルかつ迅速な展開が可能とみられる米国での発売を示唆。現在、規制戦略と申請書の作成に必要なサポートを提供できる専門アドバイザーと協力しており、バイオリアクターでの培養プロセスが確立され次第、申請を行う予定としています。

参考記事:
Real cocoa… without the beans? Kokomodo deploys plant cell culture to tackle cocoa supply challenge
With $750,000 in Funding, Kokomodo Emerges as Latest Cell-Based Chocolate Player
Ivorian cocoa farmers ‘barely survive’ while chocolate company profits soar | Agriculture | Al Jazeera

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。