フィンランドのスタートアップ企業Solar Foodsが、応募超過となったシリーズBラウンドで800万ユーロ（約13億1,000万円）の資金調達を行ったと発表しました。
空気から作られたタンパク質「Solein」の生産を拡大し、2024年上半期に稼働予定の工場建設を進めます。
世界で最もサステナブルなタンパク質
予定より2週間近く早めて満額でのクローズとなった同ラウンドは、フィンランドのSpringvest Oyjがリードインベスターとなり、チョコレートで有名なFazerなどの既存投資家が第三者割当増資で参加しました。
Solar Foodsはこの調達資金を、来年操業開始予定の同社初となる大規模生産施設「Factory 01」の建設に充てる計画。同工場には2万リットルのバイオリアクターを設置し、パイロットプラントのおよそ100倍となる年間約120トンの生産能力を見込んでいます。
VTTフィンランド技術研究センター（VTT Technical Research Centre of Finland）とラッペーンランタ・ラハティ工科大学（LUT）のスピンアウト企業として2017年に設立された同社は、微生物の発酵を利用してCO₂をタンパク質原料へと変換。
広大な土地や肥料、農薬、灌漑などを必要としない、同社が「世界で最もサステナブルなタンパク質」と呼ぶ原料を製造しています。
この発酵プロセスは気候条件などに左右されず、砂漠や北極圏、果ては宇宙空間でも生産することができるのが魅力。同社は欧州宇宙機関（ESA）と提携し、火星で食料を生産するシステムの開発も行っています。
シンガポールに続き、EUでの認可申請も実施
ライフサイクルアセスメントによると、Soleinの温室効果ガス排出量は、従来の食肉と比較してわずか1％、植物性タンパク質と比較しても20％。
栄養価も高く、タンパク質65～70％、脂質5～8％、食物繊維10～15％、ミネラル3～5％を含有。Solar Foodsによると、乾燥大豆や藻類に似た栄養素プロファイルだといい、さらに動物性食品から多く摂取できる必須栄養素の鉄分とビタミンB群も含んでいます。
同社は昨年10月、シンガポールでSoleinの販売認可を取得。シンガポールのレストラン「Fico」で、Soleinを用いたヴィーガンチョコレートジェラートの販売を開始しています。また、EUでの認可取得に向け、欧州食品安全機関（EFSA）にも申請書類を提出済みとのこと。
ニュートラルな風味のSoleinが代替できるのは乳製品にとどまらず、すでにハンバーガー、卵、ミートボールなど20種類以上の食品で実証されています。同社の共同創業者でCTOを務めるJuha-Pekka Pitkänenは、「Soleinは日々のどんな食事にも溶け込むと同時に、豊富な栄養価をもたらせる」と説明しています。
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