韓国政府が植物性食品産業の振興に注力する国家計画を発表

韓国の農林畜産食品部が、植物性食品の生産と代替プロテイン消費の拡大を見据えた国家計画を発表しました。包括的な戦略は12月に開始される予定です。

消費者の動向に沿った施策


この国家計画は幅広い範囲をカバーしており、代替プロテインに関する専門研究センターの設立や、製品の輸出可能性の拡大など、さまざまな取り組みを包含。また、従来の肉や乳製品に代わる植物性代替食品の生産において、地元産の原料をより多く使用するための手順も示したものとなっています。

韓国農村経済研究院(Korea Rural Economic Institute)は、同国のヴィーガン食品市場が、2026年までに2,800億ウォン(約320億円)に達すると予測。20〜30代の消費者の間で植物性食品は広く認知されるようになってきており、業界はこれを新たな成長エンジンとして推進する態勢を整えようとしています。

韓国ベジタリアン連合(Korean Vegetarian Union)によると、2020年時点で同国のヴィーガン人口は、10年前の3倍となる約50万人に増加しました。

ベジタリアンまたは植物性食品を中心とした食生活を送る人も150万人に上り、今や人口の20%近く(約1,000万人)がフレキシタリアンだといいます。

大手からスタートアップまでプレーヤーが増加


韓国の植物性食品分野で革新的な企業としては、UNLIMEATが代替肉やシーフードを製造しており、代替卵を開発する米Eat Justと提携して植物性キンパを開発。

Fulmu Foodもまた、「Jigu Sikdan」ブランドのもと代替肉や豆腐麺などの植物性食品を発売し、わずか1年で430億ウォン(約49億1,000万円)もの売上を記録しました。

そのほか、代替チーズメーカーのArmored Fresh、代替肉の原料となる海藻ベースのヘムを発売したHN Novatechに加え、ロッテリアCJ CheilJedang(CJ第一製糖)といった大手の動きも見られます。

CJ CheilJedangの一事業部門であるCJ Foodsは、植物性食品に特化したブランド「Plantable」を立ち上げ、韓国内外の市場で植物性の餃子を発売。昨年には、社内ベンチャー制度から生まれた植物性飲料ブランドも新たに打ち出しました。

つい先日には、即席麺ブランド「辛ラーメン」で知られるNongshim(農心)も、フードテック分野のスタートアップ企業のインキュベーションを目的としたベンチャーファンドに100億ウォン(約11億4,000万円)の投資を行うことを発表しています。

国家計画策定はデンマークに次ぐ2カ国目


植物性食品産業を推し進める国家計画を打ち出したのは、韓国が2カ国目。数週間前に、デンマーク政府が同様の行動計画策定を発表したところでした。

デンマークの行動計画では、学校給食の調理施設などでヴィーガン食の調理についてのトレーニングを実施すること、国内で生産されるヴィーガン食品の輸出を増やすこと、同分野の研究開発にさらなる投資を行うことなどについて触れられています。

欧州議会の農業委員会は先月、EUにおける植物性タンパク質の生産を増加させる戦略の実施を提案。食品と飼料のバリューチェーンにおける循環性を高め、気候変動対策を進展させると強調しました。

しかしながら、EUで行われた複数の調査の結果、一部の欧州議会議員が環境保護法案を阻止しようとする畜産ロビー団体との深いつながりを持っていることや、EUがロビー団体からの圧力に屈して家畜のケージ飼育の禁止を断念したことなどが明らかになっています。

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