スイスのバイオものづくり企業Planetary、菌糸体ベーコンを手掛けるLibre Foodsの中核資産を買収

スイスのバイオものづくり企業Planetaryが、スペイン・バルセロナを拠点とする菌糸体ベース代替肉に特化したスタートアップ企業Libre Foodsの主要な資産を取得したと発表しました。取引条件の詳細は明かされていません。

専門知識を既存の発酵インフラに統合


この買収は、Libre Foodsのブランド、知的財産権、商業契約、および研究開発能力が対象。Libre Foodsの主要な出資者であったGreen Generation Fundも、Planetaryの投資家グループに加わります。

一方、Libre Foodsの従業員は、CEOをはじめPlanetaryへの移行に一部参加しますが、取引完了後はチームに残りません。

独自技術「BioBlocks」を用いて、食品や素材など持続可能なバイオベース製品の大規模生産を支援しているPlanetaryは、以前から菌糸体を活用するバイオマス発酵も手掛けてきました。スイス西部のアールベルクで、ヨーロッパ大陸では唯一稼働中という大規模なマイコプロテイン生産施設を運営しています。

買収に伴い、Libre Foodsの技術を既存のインフラに統合。AIを活用した原料探索と効率の良いバイオプロセスを新たな専門知識により補完し、同分野におけるプレゼンスを大幅に強化する狙いです。

商業的な成功を目指す上では最適な選択肢


Libre Foodsは、欧州で初めてマッシュルームベーコン(主原料はヒラタケとエンドウ豆タンパク質)や菌糸体ベースのホールカット鶏胸肉を開発した企業として、業界をリードしてきました。スペイン国内のレストランや、カルフールなどのスーパーで製品を販売しています。

スペインのMicrofy Systems、ドイツのSLA Software Logistik Artlandと協力して昨年開発した「FungAI」プラットフォームにより、真菌株や発酵条件のハイスループットスクリーニングとリアルタイムのモニタリングが可能に。業界トップクラスの収量を実現し、昨年にはパイロットスケールの試験を開始しました。

2021年に同社を創業しCEOを務めるAlan Iván Ramosは、買収に対して満足の意を表明。「世界中の消費者の食卓に届ける」という創業以来の目標を達成する上で重要とし、これが同社の歴史における転機となると述べました。

「過去数年間、ラボスケールおよびパイロットスケールでの研究成果に満足していたが、商業的に成功するには製造能力の確保が不可欠と分かった」とRamosはコメント。

「現在の複雑な調達環境、特に設備投資のための民間資本調達の難しさや、最終的に製造への移行が当社の専門分野と中核事業からの転換を意味することを考えると、この技術で最大の効果を発揮するには協業が最適だと気付いた」と説明しています。

業界全体では同様に大規模な再編が見られ、菌糸体ミート分野をリードしていたMeati Foodsは、テクニカルデフォルトに伴い突如経営難に陥り、資産価値を大幅に下回る400万ドル(約5億7,200万円)での売却を余儀なくされました。

欧州で最大のプレーヤーであったMycorenaは、昨年倒産申請を行った後、ベルギーのNaplasolにより買収され事業停止の危機を免れています。

参考記事:
Alan Iván Ramos | LinkedIn
Planetary Expands into Fungi-Based Protein with Acquisition of Libre Foods
Exclusive: Mycelium Meat Startup Libre Foods Acquired by Biomanufacturer Firm Planetary
Libre Foods Joins Planetary: A Strategic Exit in Europe’s Mycelium Meat Market

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