オランダのRevyveが、ビール酵母を再利用したクリーンラベルの代替卵製品を発表

オランダのフードテック企業Revyveが、7月14〜17日に米国・シカゴで開催される「IFT FIRST 2024」で、植物性代替肉の食感を向上させる機能性を備えたクリーンラベルの代替卵製品を披露する計画を明かしました。

ビール醸造で出た酵母をアップサイクル


Revyveは、ビール醸造後に残った酵母を再利用し、機能性タンパク質と繊維を作り出す特許技術を保有。

得られた原料は加熱によるゲル化、結合、乳化といった卵白の持つ機能性を再現しており、食感改良剤として、ハンバーグからマヨネーズ、焼き菓子に至るまで幅広い食品に使用できます。

「酵母タンパク質(yeast protein)」と表示されるこの原料を使うことで、メーカーは結着剤や乳化剤などの食品添加物を使わず加工も最小限に抑えた、クリーンラベル製品の実現が可能に。

また、GMOフリーのヴィーガン食材であり、イスラム教のハラールやユダヤ教のコーシャの規定に適合している点も強みです。

発酵設備要らずで生産コストを削減


RevyveのCEOを務めるCedric Verstraetenによると、副産物として広く入手可能なビール酵母を活用し、微生物タンパク質や発酵タンパク質が持つ典型的な機能性のメリットを享受しているものの、同社では発酵は一切行っていないとのこと。

これにより、設備投資と生産コストを最小限に抑えることに成功し、鶏卵と同等の価格を実現できているといいます。

製造工程としては、まず大手ビールメーカーから調達した酵母を洗浄し、ビールや醸造に関連する雑味を残らず除去。続けて、酵母を「マイクロミル」工程にかけ、タンパク質と繊維を分離します。

CTO(最高技術責任者)のEdgar Suarez Garciaは、「酵母の機能性を一段上のレベルに引き上げた」この製品を使うことで、「植物由来のハンバーグが高温・低温の両方で水分や油分を保持し、グリルで焼くとこんがりとした焼き目が付き、裏返したりバンズで挟んだりしたときにも形状を保つ」と説明しています。

新工場と製品発売を計画


Revyveは現在、オランダ国内に新工場を建設中で、2024年第3四半期までに完全稼働させる予定。300トンの生産能力で市場への供給量を増やすほか、代替卵を使った消費者向け自社製品の開発にも取り組んでおり、年内の発売を予定しています。

先月には、オランダ王室のマキシマ王妃が同社を訪問し、アップサイクル酵母を使った食材に強い関心を示したとのこと。

使用済みのビール酵母からタンパク質原料を製造する企業は特に欧州で散見され、ドイツのProteinDistilleryは、バイオマス発酵により卵白に匹敵する成分「Prew:tein」を製造。

フランスのOnima(旧称:Yeasty)は、ビール酵母から苦味を取り除く手法を見いだし、代替タンパク質製品、ペットフード、栄養食品用の粉末原料を製造しています。

また、Revyveに投資を行うアンハイザー・ブッシュ・インベブ(バドワイザーなどを保有するビール世界大手)も、使用済みビール用穀物を用いた代替タンパク質の開発を手掛けています。

参考記事:
Revyve | LinkedIn
Revyve Introduces “Super Clean” Yeast-Based Egg Replacer for Plant-Based Burgers at IFT First 2024
Revyve Debuts Egg Replacer from Upcycled Brewer’s Yeast for Better Plant-Based Meat

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