果物の種を植物性ミルクにアップサイクル、オーストリアのKern TecがシリーズAラウンドで約19億円を調達

オーストリアのフードテック企業Kern Tecが、シリーズAラウンドで1,200万ユーロ(約18億9,000万円)の調達を行ったと発表しました。欧州での生産規模を拡大し、2025年に米国市場への参入を目指しています。

同社は、前回の資金調達ラウンドで63万ユーロ(約9,900万円)超を調達。これとは別に、国内外から多額の助成金も獲得していました。

今回の投資ラウンドはベルギーのTelos Impactがリードインベスターとなり、欧州イノベーション会議の投資部門、EIC Fundも新たに参画。この資金を得て、生産規模の拡大と、B2B・B2C両方に向けた原料の商品化を目指します。

廃棄物をアップサイクルして新たな乳製品カテゴリーに


2019年に設立されたKern Tecは、アプリコットやプラム、チェリーなど核果と呼ばれる果物の、廃棄される予定だった種をアップサイクルし、代替乳製品の原料へと変えます。

同社によると、欧州では毎年50万トンの核果の種が廃棄され、埋め立てられているといいます。これに目をつけた同社は、廃棄される種をアップサイクルし、循環型フードシステムを構築。

しかしながら、核果の皮には、アミグダリンというシアン化合物が含まれている場合も。この成分は、粉末に加工したり、砕いたりすることで致命的な毒となる可能性があり、加工が不適切な杏仁オイルには微量に含まれていることがあります。

そこで同社は、シアン化合物を安全に処理する画期的なプロセスを開発。EUの規制に準拠し、中毒の危険性を取り除きました。

同社のオイルや原料はさまざまな製品に利用できますが、当面は代替乳製品に注力する予定。共同創業者のLuca Fichtingerは、「果物の種はナッツと非常に似ており、健康に良い脂肪とタンパク質を含んでいる。これを活用し、オーツミルクやアーモンドミルクと並ぶ新たな乳製品カテゴリーを生み出したい」と語っています。

2025年に米国市場への参入を目指す


Kern Tecは昨年、杏仁オイルを使ったアニマルフリーのアイスクリームブランド「Wunderkern」を発表。以後、チェリーオイルやプラムシードオイル、杏仁をベースにしたミルクやチョコレートスプレッドなど、製品ラインアップを拡大しています。

Fichtingerによると、同社は常にB2Bに重点を置いているとのこと。その準備段階として、消費者向けブランドを利用して製品を早期に市場に投入、貴重なフィードバックを収集し、処方の改良に役立てています。

GFI Europeによると、オーストリアのヴィーガン向け小売市場は「欧州で最も小さい市場の一つ」ながら、消費者の需要は急速に成長。

植物性食品の売上は2020〜22年の間に22%増加しており、昨年には、植物由来の牛乳、肉、ヨーグルトを合わせた販売数量が、従来の動物由来製品を上回りました。牛乳は、同期間に販売数量が10%減少しているのに対し、代替ミルクは18%増加しています。

Kern Tecは、スイスのコープとの共同開発や、REWE Group傘下のオーストリアのスーパーBillaでの販売開始など、他企業との提携を加速。欧州でのスケールアップに成功後、2025年には米国での発売を視野に入れています。

増加する代替油脂生産のスタートアップ


Kern Tecのほかにも、持続可能な代替油脂の分野ではスタートアップ企業が増加。米国のZero Acre Farmsは、天水(雨水)で育てたサトウキビを発酵させて代替油を生産しており、先日、ハンバーガーチェーンのShake Shackとの試験的提携を公表しました。

同じ米国のLypidは、植物性代替肉用に独自開発した代替脂肪「PhytoFat」のB2B供給を開始。スウェーデンのMycorenaは、菌類の発酵をベースにした史上初となる代替脂肪を生産しています。

そのほか、英Clean Food Group、米C16 Biosciences、オランダのNoPalm Ingredientsなどが、油性酵母と呼ばれる菌を使った代替パーム油の生産に取り組んでいます。

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