ビーンレスコーヒー開発のAtomo Coffee、カフェとの提携拡大に向け約12.2億円を調達

米国・シアトルに拠点を置くビーンレスコーヒー開発のリーダー企業Atomo Coffeeが、国際的なパートナーシップを通じた販売拡大を見据えて、シリーズBラウンドで780万ドル(約12億2,000万円)の資金調達を完了しました。
アップサイクル原料で作る代替コーヒー
2019年にAndy KleitschとJarret Stopforthが設立したAtomo Coffeeは、コールドブリューから始めて、フィルターコーヒーやエスプレッソ用の粉末タイプの生産に移行しました。
現在は、アップサイクルしたナツメヤシの実(デーツ)を主原料に、ラモンの実(マヤナッツ)、ヒマワリの種抽出物、フルクトース(緑茶のカフェイン入り)などを使用。
カリフォルニア州南部のコーアチェラ・バレーにある農家からナツメヤシの実を引き取り、自社のロースタリー(焙煎所)で洗浄、乾燥させ粒状にした後、ほかの材料で作ったマリネ液に漬け込み熱を加えることでメイラード反応を起こし、求めるコーヒー成分を生成します。
今回調達した資金を得て同社は、昨年発売した、従来のコーヒーと革新的なビーンレスコーヒーを同じ割合でブレンドした製品「Atomo 50:50 Drip」の国際的な展開を目指し、リーチを拡大する計画です。
このブレンドコーヒーの味についてブラインドテストを行ったところ、スターバックスのフィルターコーヒーに比べて2倍近くの人が好む結果となったといい、愛飲者も満足させる味に仕上がっている様子。
CEOのKleitschは、「多くのコーヒー会社が、消費者にとって手頃な価格で常に美味しいコーヒーを提供できるよう、ビーンレスコーヒーを自社製品に取り入れる方法を模索している」と語っています。
生産能力増強に伴い、日本での展開も実現
Atomo Coffeeの製品は、米国内でスペシャルティコーヒーを58店舗展開する「Bluestone Lane」と、その他の13店舗で提供されています。
昨年は、ロンドンのHagen Espresso Barや、日本最大級のコーヒー専門通販「PostCoffee(ポストコーヒー)」、廃棄物ゼロをコンセプトとした東京・渋谷のカフェ&バー「æ(アッシュ)」との提携により、国際的な拡大を推し進めました。今春には、高級アイスクリームブランドとのコラボレーションも予定しているといいます。
ビーンレスコーヒーに対しては、1億2,500万人ともいわれる既存のコーヒー農家の収益に影響を及ぼすといった批判もありますが、Atomo Coffeeのウェブサイトによると、この産業が農家を脅かすほどの規模にまで移行する可能性は極めて低いとのこと。
世界中でコーヒーの消費量は急速に伸びていることから、コーヒー農家はむしろ増産を余儀なくされているのが現状で、気候変動とともに生産量を増やすため、栽培地を拡大させる必要が生じています。
持続可能性を専門とする調査会社HowGoodの分析によると、Atomo Coffeeのエスプレッソ用製品「Coachella Latte Blend」は従来のコーヒー生産に比べ、CO₂排出量が83%、農地の使用面積も70%少ないとのこと。気候変動に歯止めをかけつつ、代替となる供給源の確保に寄与できる点が魅力です。
生産量とプレゼンスの拡大に向け、同社は昨年4月に33,000平方フィート(約3,070平方メートル)の焙煎所を開設しました。年間約2,000のコーヒーショップに供給できる量の、400万ポンド(約1,800トン)のビーンレスコーヒー生産が可能となっています。
参考記事:
Atomo Brews Up $7.8M Fundraise to Expand Café Collaborations with 50:50 Beanless Coffee Blend
Latest global coffee and hospitality industry news – World Coffee Portal
Atomo Coffee: Engineering a More Sustainable Cup
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