EU初の培養肉試食会、Meatableがオランダ本社で開催

培養豚肉の開発を進めるオランダのMeatableが、Cellular Agriculture Netherlandsに新設された専門家委員会の承認を受け、欧州連合(EU)では初となる培養肉の公開試食イベントを開催しました。

今年、シンガポールでの認可取得とレストランでの発売を見据えています。

EU圏内では初の試食イベントが実現


オランダでは昨年、特定の安全が担保された環境下で試食イベントを開催する際の「実践規範」について合意がなされた後、企業からのイベント開催申請を評価する専門家委員会が設立されています。

このたび、Meatableによる公開試食イベントが実現し、シェフ、ジャーナリスト、業界関係者、政府関係者に同社のハイブリッドポークソーセージが披露されました。

ライデンのバイオサイエンスパークにあるMeatable本社で開催された試食イベントには、ミシュラン2つ星シェフのRon Blaauw、オランダ王子のConstantijn van Oranje、そしてRESPECTfarmsの創設者Ira van Eelenらが参加。

van Eelenは、「他国の試食会にも何度か参加してきたが、Meatableのソーセージは驚くほど美味しかった」とし、この分野にとって「大きな一歩」であるとコメントしています。

生産増とコスト低下のための「ハイブリッド」アプローチ


Meatableのポークソーセージは、動物細胞の培養物と植物性原料を組み合わせたハイブリッド肉製品。今回披露されたソーセージには、28%の培養豚脂肪に、エンドウ豆、ひよこ豆、大豆、小麦のタンパク質が加えられていました。

ハイブリッド肉は、培養肉を近い将来、商業的に実現可能にする唯一の方法として投資家からの注目を集めています。Meatableの共同創業者でCTO(最高技術責任者)を務めるDaan Luiningによると、同社は最終的には100%培養肉を目指すものの、ハイブリッド肉のアプローチにより生産量を大幅に増やすことができるとのこと。

価格を抑えながらも、植物性代替肉より優れた味覚特性を実現し、肉食の人々でも満足できる製品が作れると期待されています。

同社は多能性幹細胞を培養する特許技術「OPTi-OX」を用いて生産工程を刷新。わずか4日間で完全に分化した筋肉と脂肪細胞を得られる、業界最速のプロセスを開発しています。

今年はシンガポール、来年に米国で展開へ


Meatableは、すでにシンガポールで2回の試食イベントを開催しており、シンガポール食品庁(SFA)の許可を得て、年内にも一部のレストランで培養ポークソーセージを展開できる見込み。それまでの期間、試食からのフィードバックを測定して製品を最適化させる計画です。

そのほかにも世界中の食品安全機関と連携しており、2025年の米国進出を目標に米国食品医薬品局(FDA)米国農務省(USDA)とも協議を行っています。

また、Meatableと同じオランダ企業のMosa Meatも、同様にシンガポールでの発売に先立ち、オランダで培養牛ハンバーグの試食イベント実施に向け準備を進めている様子。

英国のIvy Farm Technologiesは今年2月、培養豚肉を用いたスコッチエッグの小規模な試食イベントを開催しました。培養ポークソーセージの開発にも取り組んでいる同社は、すでに英国の規制当局に認可申請を提出済みで、年内にも認可が下りる見込みです。

参考記事:
Meatable Successfully Hosts First Cultivated Meat Tasting in European Union | Business Wire
Exclusive: Meatable Hosts the EU’s First Public Tasting for Cultivated Meat at Dutch HQ
Slaughter-free sausages: trying the latest lab-grown meat creation | Food | The Guardian
Dutch cultured meat firm Meatable holding first EU tasting today | NL Times

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