オランダ政府が培養肉試食イベントの開催要件に合意、一般への試食提供が間近に迫る

オランダ政府が、試食イベントでの培養肉・培養魚の一般提供を認める方向で、同国の関係企業と合意したと発表されました。

EUでは現在、細胞培養品が新規食品(Novel Food)として認可されていないため、販売や消費は禁止されていますが、試食提供については特に規定されていません。このため、正式承認をもって、オランダが欧州初の一般向け試食イベントの開催が可能な国家となる予定です。

培養肉開発で世界をリードしてきたオランダ


2013年にマーストリヒト大学のMark Postが世界初の培養ハンバーグを披露して世間を賑わせてから、丸10年が経過。そのMark Postが立ち上げたMosa Meatや、同じく培養肉メーカーのMeatable、バイオテクノロジー業界を代表するHollandBIOなどが、オランダ政府との間で協議を行ってきました。

そして今週、特定の安全が担保された環境下で試食イベントを開催する際の「実践規範」について、正式に合意が成立。同国の企業にとって待望の、重要なマイルストーンとなりました。近く内閣からの承認を得て、年内にも初の試食イベントが開かれる見込みです。

行動規範の実施に関しては、オランダ政府が出資するコンソーシアムのCellular Agriculture Netherlandsが、企業からの試食イベント開催申請を審査する専門家の雇用などにおいて、責任を持つことが定められています。

細胞農業界に大規模投資


オランダは昨年、国家成長基金(National Growth Fund)を通じて、細胞農業界のエコシステム構築に6,000万ユーロ(約89億4,000万円)を拠出すると発表

オランダで下院議員を務めるTjeerd de Grootも、「かつてオランダはこの分野のパイオニアだったが、後れを取ってしまった。世界の流れに追いつき、再び主導権を握れるよう努めたい」と同国メディアに語っており*1、国を挙げて細胞農業に注力する姿勢がうかがえます。

細胞培養品の試食は、イスラエル、シンガポール、米国ではすでに認可済み。今年5月には、Meatableもシンガポールで初の試食会を開催しました。

EUでの販売認可には、欧州食品安全機関(EFSA)による包括的なリスク評価と、欧州連合(EU)全加盟国の代表者による欧州委員会の最終承認が必要で長い時間がかかるとみられますが、今後の進展が期待されます。

*1 https://www.rtlnieuws.nl/nieuws/politiek/artikel/5393618/kabinet-kweekvlees-proeverij-hamburger-stamcellen

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