米・タフツ大学が細胞農業の副専攻プログラムを新設、同分野では世界初

米国・マサチューセッツ州メドフォードに位置するタフツ大学がこの秋、細胞農業の副専攻プログラムを新設したことを発表しました。同分野では、世界初にして唯一の学部課程だといいます。

初めて実際の学位取得が可能に


1852年に創設されたタフツ大学は、日本人では国連事務次長を務めた明石康など、多数の著名人や有力者を輩出している名門。以前からタフツ大学細胞農業センター(TUCCA)を開設し、細胞農業の専門家David Kaplanを筆頭に研究を実施してきました。

昨年3月には、魚類細胞の培養に関する2年間の研究プログラムに対して支援を受けるため、イスラエルの培養魚メーカーWanda Fishとのライセンス契約を締結。

今年初めには「Cellular Agriculture Innovation Day」を開催し、The Good Food Institute(GFI)所長のBruce Freidrich、培養肉の研究機関New HarvestIsha Datar、世界初の培養肉ハンバーグを作製したMark Postを招いたパネルディスカッションも実施しています。

今回新設された細胞農業の副専攻プログラムは、学部生に組織工学研究を進め、細胞農業研究から食品産業のイノベーションにつなげる機会を提供することを目的としたもの。

同大学の工科部(School of Engineering)および芸術科学部(School of Arts and Sciences)の学生が履修可能で、2つのコア科目、研究プロジェクトコース、3つの選択科目からなる6つの授業が準備されています。選択科目には、「食と栄養と文化」、「フードシステム:農場から食卓へ(Farm to Table)」、「製品の市場化」、「バイオリアクターの設計」など。

TUCCAのKaplanは、「この分野で実際に学位を取得して卒業できるものは、当プログラムが初。学生たちは深いバックグラウンドを持ち、このテーマに長年携わってきたプロフェッショナルとしてこの分野に参入することになるだろう」とコメントしています。

食肉以外の製品で新たな価値創造も


細胞農業は通常、バイオリアクター内で細胞を培養して食肉を生産するという、急成長中の新分野の技術として知られていますが、そのプロセスは食肉以外の製品にも応用できるといいます。

同大学に通う4年生のAdham Aliのグループは、細胞農業を利用して消費者の生活をより便利にする製品をデザインする「細胞農業による価値創造」の初授業で、エンドレスのアロマディフューザーをデザインしました。

ディフューザーを家の中に置いておくと、細胞が増殖し続けてエッセンシャルオイル(精油)を作り出し、継ぎ足しの手間なく良い香りを保てるとのこと。

この学生はまた、代替プロテイン分野への大学の関与を高めることを目的としたGFI主導の世界的イニシアチブ、「Alt Protein Project」のタフツ支部を共同で設立。現在、同分野における機会に対する認識を高めることを目的に、地域の全大学の学生を対象とした来年春のカンファレンス実施を計画している最中だといいます。

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