Meweryが安定した細胞株の樹立に成功、培養豚肉生産をスケールアップする重要な一歩に

昨年、培養豚肉と微細藻類をブレンドしたハンバーガーを開発したチェコのMeweryが、安定した細胞株の樹立に成功。予定しているパイロットプラント開設を数カ月後に控え、製品開発における重要なマイルストーンを達成したと発表しました。

商業化を妨げる大きな難題をクリア


新たに樹立されたこの細胞株は、Meweryが独自に開発した無血清培地を用いる豚肉細胞と微細藻類の「共培養」技術において、最も良好な反応を示したとのこと。

Meweryの最高科学責任者(CSO)を務めるVladislav Strmiskaは、「培養肉を消費者の元に届けるという継続的な努力の、重要な前進を示す成果が得られた」と語りました。

同社の説明によると、安定した細胞株とは、望ましい特性を保持したまま何世代にもわたって継続的に増殖できる細胞集団のこと。これにより、生きた動物から細胞サンプルを毎回採取する必要がなくなり、より持続可能で倫理的な培養肉生産が可能になります。

加えて、安定した細胞株は、正確な制御と特性評価により培養された食肉がどのバッチでも等しく高い品質を保つことを保証し、大規模な細胞培養を可能にします。

適切な細胞株の入手が難しいことは、これまで業界における商業化の大きなボトルネックとなってきたため、今回の細胞株樹立は重要な一歩となります。

チェコ政府との対話も進める


Meweryはまた、複数の非遺伝子組換えブタ細胞を新たに加え、保有する細胞バンクの拡大を発表。多様な細胞を保持し、開発能力強化と成長条件の最適化のための基盤を築いています。

次のステップとしては、バイオリアクター中での懸濁培養に適した細胞の調整、200リットルのバイオリアクターを用いた共培養プロセスのテストなどを行う計画です。

同社は今年1月、チェコ政府から20万ユーロ(約3,300万円)の助成金を受け取りました。しかし一方で、チェコの議員たちは、同時期にEUで議論され始めた培養肉セクターの制限を試みる動きにも賛成していた様子。

その動きとは、1月23日に開催されたEU農業・漁業理事会(Agrifish Council)において、オーストリア、フランス、イタリアが率いる代表団がEUの培養肉規制の抜本的な見直しを求める文書を提出したものですが、チェコはこれに賛同する10カ国のうちに含まれていました。

そんな中でもMeweryは同国農業省との対話を続けており、これまでのところは良好な関係にあるとのこと。オランダのモデルにヒントを得て、管理された環境下での試食を可能にする法的枠組みの構築についても積極的に議論しているといいます。

同社は米国での認可申請を第一に考えていますが、EUでの規制枠組みが明確になれば、EUでも申請を行う計画。もう一つ検討している国はスイスで、試験生産の実施においては、スイスのパートナー企業とも交渉を進めています。

参考記事:
Mewery Establishes Stable Cell Line to Scale Up Cultivated Pork Production Ahead of Pilot Plant Opening
Here’s What Went Down at the EU Agrifish Council Meeting on Cultivated Meat
Mewery Advances Cultivated Meat Development with Establishment of Stable Cell Line | Protein Report

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