ルーマニア上院が培養肉の販売禁止を決議、イタリアに続き2カ国目

ルーマニアの元老院(上院)が、培養肉の国内市場での販売を禁止する法案を可決しました。

上院を通過し下院での審議へ


この法案は、「実験室で動物細胞を培養して得られた合成肉の国内市場での販売を禁止」するといった内容。違反した事業者には、200,000~300,000ルーマニア・レウ(約640〜960万円)の罰金が科されます。

専門家委員会のレポートによると、同法案を起草した政権与党、社会民主党(PSD)の議員グループは、「公衆衛生と食品衛生を守り、消費者に正確な情報を提供することを目的として」、食肉製品の名称、ラベル表示、マーケティングを規制する狙いがあるとのこと。

社会民主党の議員で前農業大臣のAdrian Chesnoiuは、「培養肉は世界的に見ていまだ実験段階だが、ルーマニアを含むEUにおいて食の健康基準はすでに確立されている。現在不足していないものを新たに発明する必要はない」と語りました。

上院を通過したため、今後は最終決定権を持つ代議院(下院)での審議に移ります。

EU法への違反が争点に


同法案ではまた、食肉の「ルーマニア産」表示について、「100%ルーマニア国内の農場で生産された枝肉から作られた食肉および食肉製品」と定義を厳格化。この規定を満たさない場合、食肉・食肉製品の陳列棚や製品ラベルに「ルーマニア産」の表記や、国旗の色を表示することは禁止されます。

上院での可決を受けGFI Europeは、「培養肉は生産者が異なるだけで、現在私たちが食べているのと同じ肉」と現地紙の取材に回答。また、培養肉生産では気候に与える影響を最大92%、大気汚染を最大94%、土地の利用面積を最大90%削減できることを強調しています。

GFI EuropeのSeth Robertsは、「同法案は、ルーマニアを新たな投資と雇用の機会から切り離し、気候変動への取り組みを弱体化させ、消費者の選択を制限するもの。世界各国が未来に備えたフードシステムの一環として培養肉に投資している中、ルーマニアだけが取り残されることになる」と警告。

さらに、このような法案の制定は単一市場を形成するEU法に違反している可能性が高く、培養肉の販売認可はEU規制当局の厳格な認可プロセスに一任されるとしています。

イタリアでは今年7月、同様に培養肉の生産・販売禁止が上院で決議されましたが、EU法への違反による正式な拒否を受ける前に、政府が法案の撤回を決定しました。

参考記事:Update: Romanian Senate votes to ban sale of lab-grown synthetic meat

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