米Lypid、植物由来の代替脂肪「Phytofat™」を食品産業向けに提供開始

米・サンフランシスコに拠点を置くLypidが、植物由来の代替脂肪「PhytoFat™」を国内のフードサービス市場に向けてB2Bで提供開始すると発表しました。

外食チェーンに協働を呼びかけ


植物性代替肉を本物の肉の味わいに近づけるべく開発された、革新的なPhytoFat™。今年、FoodBev Mediaが主催する2023 World Food Innovation Awardsにおいて、「Ingredient Innovation」賞を受賞しました。

PhytoFat™は、最先端のマイクロカプセル化技術*1 を用いて、97%が植物由来の油と水から作られています。動物性脂肪と比較して、カロリーと飽和脂肪酸の両方を低減することができ、栄養面でも優れているといいます。また、高い融点を持つPhytoFat™は、165℃以上で調理しても動物油脂と同じ特性を保持し、料理への使用感の点で見劣りしないのも魅力。

Lypidは昨年、シードラウンドで400万ドル(約5億3,200万円)を調達。今年3月には、PhtyoFat™を使用した世界初の植物性豚バラ肉「Lypid Pork Belly」を発売し、米国および台湾のレストランで提供が始まっています。現在市販されている植物性代替肉の多くはひき肉状であるため、豚バラ肉の市場投入でより広範なレシピに適用されることが期待できます。

アジア最大のコーヒーチェーンであるLouisa Coffeeと提携し、台湾の500を超える店舗でPhytoFat™を使用した植物性バーガーパティを提供するなど、すでにグローバルなコラボレーションに着手しているLypid。現在も、世界中の革新的な外食チェーンに対してさらなるコラボレーションを呼びかけています。

広がりを見せる代替脂肪開発


2020年のLypid創業以降、活発な動きが見られる代替脂肪メーカー。

サンフランシスコ・ベイエリアのスタートアップ、Zero Acre Farmsは昨年、シリーズAラウンドで3,700万ドル(約49億2,000万円)調達。投資家の中には、俳優のロバート・ダウニー・ジュニアや、バンド「コールドプレイ」のメンバーも含まれており、同分野への関心の高さがうかがえます。

同社は、微生物による発酵を利用して、パーム油のような問題を抱える植物油(CO₂排出や熱帯雨林減少の原因となっている)や、キャノーラ油、大豆油などの遺伝子組み換え植物油を置き換える取り組みを続けています。

植物由来原料をベースにしたものから、微生物による発酵を用いたもの、培養技術によるものまで多種多様な代替脂肪のスタートアップが各国で登場しており、これからも一層の増加が見込まれます。

*1 微小な粒子にコーティングを施して、特定の機能を持った微小なカプセル状に加工すること。

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