香港のAvant Meatsがパイロット生産に成功、2025年までに培養魚生産の大幅拡大を目指す

香港に本社を置く培養シーフード企業Avant Meatsが、2025年までにシンガポールのパイロットプラントにおける生産能力を、250リットルから2,000リットルのバイオリアクターへと拡大する計画を明かしました。

共同創業者でCEOのCarrie Chanが、『South China Morning Post』のインタビューで語っています。

年内または来年初頭には、シンガポール食品庁(SFA)からの販売認可を取得できる見込み。今年、この野心的な拡張計画のため、新たに数十億円規模の調達を目指します。

最初のパイロット生産に成功


Avant Meatsは、潜在的な顧客に提供するサンプル用として、魚の浮き袋(コラーゲンを豊富に含み、中国では「魚肚」と呼ばれる伝統食)と切り身の培養に着手。

すでに50〜250リットルで最初のパイロット生産のバッチを稼動させており、バッチごとに何キロもの培養魚を生産できているといいます。

2018年に設立されたAvant Meatsは、2020年にシードラウンドで310万ドル(約4億7,000万円)の資金を得て研究開発を加速させ、培養シーフード生産のプラットフォームを開発。同年末には培養魚の切り身を発表するなど、かなり早い段階で試作品開発に成功していました。

その後2022年には、S2G Venturesが主導するラウンドで1,080万ドル(約16億4,000万円)を調達してシンガポールのパイロットプラント建設に充て、昨年より稼働を開始。昨年11月には、シンガポールのレストランで試作品を使った中華料理の試食イベントを開催し、消費者から好評を得ました。

化粧品用途の製品開発も


Avant Meatsはまた、中国のバイオ医薬品大手QuaCellとの戦略的パートナーシップを締結し、QuaCellの食品グレードの設備を用いて無血清培地の処方を最適化。このアニマルフリーの培地を用いることで、生産コストを90%以上削減することに成功しています。

また、培養魚製品に加えて、スキンケアや機能性用途の魚由来タンパク質の開発も実施。世界初と主張する、化粧品市場向けに特別に設計された細胞ベースの機能性タンパク質「Zellulin」を2021年に発売しました。

この製品は、優れた抗酸化作用、再生作用、皮膚修復作用を発揮する海洋性ペプチドを独自にブレンドしたもので、各種スキンケア製剤、飲料、サプリメントへの利用が可能。多くの原料大手との供給契約を結んでいます。

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