ドイツのThe Cultivated BがdenovoMATRIXと提携、細胞培養を効率化するマイクロキャリア技術を模索

ドイツのThe Cultivated B(以下、TCB)が、培養肉のスケーラブルな大規模生産の実現可能性に関する調査(フィジビリティスタディ)を実施するため、細胞培養技術を保有するdenovoMATRIXとの提携に至ったと発表しました。

マイクロキャリアを用いた生産システムの利点を分析


今回の提携の目的は、懸濁液中で細胞を培養することの限界を克服するべく、マイクロキャリアを用いたフィジビリティスタディを両社共同で実施すること、そして培養肉の大規模生産を成功させるための標準となる、パイロットスケールの細胞培養手法を確立することです。

denovoMATRIXは、TCBのバイオリアクターと培地における浮遊細胞の増殖を試験するためのマイクロキャリア技術と、最終製品の構造を形作る足場のコーティング技術を提供。

本来、細胞は物体の表面に付着して増殖するため、細胞が増殖できるエリアはバイオリアクター内部の表面積に限定されます。ここで、マイクロキャリアと呼ばれる微小粒子を「足場」として使用し、細胞を付着させることで、より多くの細胞がバイオリアクター内で自由に浮遊した状態で増殖することが可能に。

これにより、細胞の大量培養を行うための一貫性・再現性のある、パイロットフェーズでの生産プロセスを確立できます。

フィジビリティスタディでは、両社の独自技術を統合したシステムの実行可能性と、潜在的な利点の詳細な分析を実施。メリットが実証されれば、TCBはdenovoMATRIXの技術を、培養肉企業向けに提供する自社製のバイオリアクターに組み込む計画です。

両社はまた、この技術は培養肉研究を行う学術機関にも採用され、パイロットスケールの細胞培養を「民主化」できる可能性もあるとしています。

短納期のバイオリアクター製造に着手


InFamily Foods傘下のTCBは、細胞農業、精密発酵、バイオリアクターの新技術を用いて、培養肉生産、その他食品製造、パーソナルケア産業への適用を推し進めています。

昨年、カナダのトロントに製造とイノベーションの拠点を開設。産業用グレードのバイオリアクター「AUXO V」の製造を先日開始し、操作性を改良した装置をB2B向けに、わずか数週間で納品できる体制を整えました。

生産能力を飛躍的に向上させるという細胞農業界の差し迫ったニーズに応え、ラボスケールから商業生産へのスケールアップを支援することが期待されています。

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