藻類タンパク質を開発するイスラエルのBrevelが、シードラウンドで約26億円を調達

イスラエルのスタートアップ企業Brevelが、藻類をベースとしたプロテイン生産プラットフォームを拡大するため、シードラウンドで1,850万ドル(約26億900万円)の資金調達を行ったと発表しました。

シードラウンドではNevaTeam Partnersがリードインベスターとなり、EUの資金助成プログラム「Horizon 2020」とイスラエル・イノベーション庁(Innovation Authority)からも多額の資金が提供されています。

大豆やエンドウ豆の価格に匹敵


化石燃料の代替として利用され、化粧品や医薬品、さらには食料源としても活用が進む微細藻類。2033年には254億ドル(約3兆5,800億円)の市場規模になると予想されています*1

屋外の池やガラス管での培養でスピルリナやアスタキサンチンの生産が行われるほか、室内で光を当てずに行う暗発酵でDHA(オメガ3脂肪酸の一種)などの脂質を生産する、オランダのDSMのような企業の動きが見られます。

しかしながら、Brevelの共同創業者でありCEOを務めるYonatan Golanは、藻類から低コストの食用タンパク質を生産するこれまでの試みはあまり成功していないと指摘。

同社では、すでにFDAの認可を受けており、欧州でも新規食品とはみなされない非遺伝子組み換え株を使用し、LED照明と砂糖をベースにした暗発酵を組み合わせることで、高効率な生産プロセスを構築しました。

光を当てることで、微細藻類が機能性タンパク質、脂質、色素などを生産するよう誘導。この独自の手法により、同じ微細藻類でも3倍近い収益性を達成でき、大豆やエンドウ豆などの植物性プロテインに匹敵する価格が実現可能だといいます。

また、同社の生産プロセスでは、ニュートラルな風味の完全タンパク質(生産されるバイオマスの50%以上)に加え、色素成分であるカロテノイド、食品原料として用いられる水溶性繊維、乳化剤として機能する極性脂質といった副産物を活用できるのも特徴となっています。

クセのないニュートラルな風味の藻類タンパク質


藻類タンパク質は、大豆やエンドウ豆などの植物性プロテインに付随するクセのある味がなく、乳製品の代替品として効果的な役割を果たすとBrevelは強調しています。

大豆などの植物性タンパク源はアレルギーを起こしやすい上、風味が強すぎる場合もあり、植物性ミルクやチーズに使用するにはやや不適。その点、Brevelの藻類タンパク質はシームレスに組み込むことができ、風味やコストの面で妥協することなく、栄養価を大幅に高めることが可能です。

Brevelは現在500リットルのパイロットプラントを運営していますが、間もなく5,000リットルの大規模生産施設に移行する予定。次のステップとして、2025年にイスラエル南部に合弁パートナーのKibbutz Yotvataと共同で、90万リットルの施設(3万リットルのリアクター×30基)の建設を検討しています。

同社は昨年、植物性チーズを製造するイスラエル企業のVgarden提携。ニュートラルな風味のタンパク質を使用した最初の製品を、2024年に発売予定です。

*1 https://www.futuremarketinsights.com/reports/microalgae-market

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