英国がイスラエルとの二国間協定締結に意欲、培養肉の認可を加速させる可能性

英国がイスラエルとの二国間協定締結により、培養肉の認可を加速させる計画であることが明らかになりました。デイリー・テレグラフ紙のオンライン版『The Telegraph』が報じています。

新規食品の規制を見直し


現在、英国はブレグジット前の規則を維持しており、培養肉に関してはEUの規制に従っています。EUでは、培養肉は「新規食品(Novel Food)」とみなされ、企業が培養肉製品を販売するにあたっては市販前承認の取得が必要。英国では、英国食品基準庁(以下、FSA)がこの問題を管轄しています。

FSAは2021年、代替プロテインの受容性をテストするべく消費者調査を実施。これにより、英国人の78%が培養肉について聞いたことがあり、食べても安全だと認識していたのは30%3分の1が食べてみたいと思っていることが判明しました。

試す気になれないと答えた人の割合は42%に上りましたが、そのうち27%は「食べても安全だと分かれば」、23%は「適切な規制プロセスを経ていると分かれば」問題ないと答えています。

業界シンクタンクのThe Good Food Institute(GFI)によると、FSAはさまざまな規制モデルの可能性を特定・評価し、英国の新規食品規制の見直しを開始しているとのこと。今のところEUのモデルを残しているものの、「将来的には培養肉製品を評価する新たなシステムが登場する可能性がある」と述べていました。

イスラエルとの協働で培養肉を推進


『The Telegraph』の報道によると、英国は、食料安全保障の強化生活費の低減などを目的に、イスラエルと細胞培養肉に関する協力関係を強化するための協定を締結する計画。イスラエルには、培養肉分野のパイオニア企業が数多く存在しており、政府の投資も大規模なことから、次に培養肉を承認する国になる可能性が高いと考えられます。

生活費の上昇は英国を直撃しており、一部の肉や野菜の価格は、この1年でほぼ2倍に。英国科学・研究・イノベーション担当大臣のGeorge Freemanは、「非常に低コストのタンパク質を開発する方法を早急に生み出さなければ、食料安全保障の面で不安定さが増すだろう」と語っています。

FreemanとFSAの職員は今年初めにイスラエルを訪問し、培養肉の試食と、同国での市場規制状況を視察。両国は先日、量子研究と学術界における連携を強化し、英国での規制認可のためにイスラエル企業が新技術を提供する形で協力することで合意に達していました。

英国には、昨年同国最大の培養肉工場を開設したIvy Farmや、欧州最大を謳う培養肉の受託製造パイロットプラントを年内に稼働させる予定のExtracellularがあります。

そんな中、イスラエルのAleph Farmsは今年8月、英国で培養肉の認可申請を行った初の培養肉企業となりました。すでにパートナー企業との交渉に入っており、数年内に英国での生産を開始する計画。規制プロセスには2〜3年かかると予想されるものの、その可能性は「極めて大きい」としています。

ネットゼロ実現に向けた施策となるか


GFI Europeは、カテゴリーへの投資が2021〜22年にかけて400%増加したと報告し、英国における培養肉の可能性を示唆。別の調査では、英国の培養肉企業がこれまでに受けた投資額は2,855万ポンド(約52億1,000万円)に上り、米国、イスラエル、オランダ、シンガポールに次ぐ金額となっています。

さらに今年初め、英国政府は細胞農業製造ハブ「CARMA」の設立に、これまでで最大規模の1,200万ポンド(約21億9,000万円)を投資。英国バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)も、持続可能なタンパク質開発のために2,000万ポンド(約36億5,000万円)を確保しています。

英国のリシ・スナク首相は先日、同国の気候変動に関する公約を翻してガソリン車・ディーゼル車の禁止期限を当初の2030年から延期し、激しい批判を浴びました。

スナク首相は、2050年までにネットゼロを達成するという目標を堅持することに変わりはないが、より現実的なアプローチを採りたいと述べました。しかしながら、その方法については明らかにしていません。

英国の気候変動委員会は、2030年までに1990年比で排出量を68%削減するためには、現在のペースでは「心配になるほど遅い」と指摘しています。

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