植物由来の成長因子を用いた培養肉生産へ向け、SeaWithとORF Geneticsが提携

韓国のバイオテクノロジー企業SeaWithと、アイスランドで分子農業を手掛けるORF Geneticsが、植物由来の成長因子を用いた培養肉生産を加速させることを目的に覚書(MOU)を締結したと発表しました。

SeaWithは、2025年までに「Welldone」ブランドで韓牛(韓国原産の小型牛の一種)と呼ばれる種類の培養ビーフ製品を市場に投入する計画で、生産プラットフォームのスケールアップに向け準備を進めています。

成長因子の安定供給を確保


2019年に設立されたSeaWithは、微細藻類を用いて細胞を付着させる安価な足場と成長材料を生産し、ウシ胎児血清(FBS)に頼らない生産技術を開発したと主張。

厚切りの培養ビーフをキロ単価3ドル(約448円)で生産できるとして、昨年2月のシリーズAラウンドでは65億ウォン(約7億2,200万円)の調達に成功しました。

B2Bで足場や成長培地の供給を行うほか、シンガポールで培養肉の商業生産の認可を受けたEsco Asterと提携し、同地での培養肉生産も加速させています。

今回の提携により、SeaWithは、持続可能な食肉を低コストで開発するために必要な、ORF Geneticsからのアニマルフリー成長因子の安定供給を確保。MoUではまた、培養肉生産用の成長因子を開発するため、さらなる共同研究の計画も強調されています。

植物のはたらきを活用する分子農業


一方のORF Geneticsは、遺伝子組み換えした植物の体内で目的物質を生産する、分子農業技術の活用を進める企業。オオムギから得られたタンパク質をベースに、動物細胞の培養に必要な成長因子「MESOkine」を生産しています。

同社ウェブサイトによるとMESOkineは、オオムギ種子タンパク質中に、精製された組み換え成長因子を20〜30%含んだオオムギ種子抽出物。

厳選されたオオムギの種子に含まれるタンパク質は、成長因子の寿命を延ばし、生物活性を高めるとのこと。独立した研究機関による分析の結果、高度に精製(95%以上)された市販の成長因子と同等の生物活性を有することが確認されています。

イスラエルのAleph Farms、オランダのMosa Meatとも協働しており、急速に拡大する市場での地位を強化しています。

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