カナダのDaiya Foodsがヴィーガンチーズ製品群を一新、オーツ麦クリームをベースに発酵技術を用いた製法へと切り替え

カナダを代表する代替乳製品メーカーのDaiya Foodsが、北米で大規模に展開するヴィーガンチーズの製品群を一新。オーツ麦クリームをベースに、伝統的な発酵技術を用いる製法への切り替えを発表しました。

新製法への切り替えでブランドを一新


2008年にカナダで設立されたDaiya Foodsは、植物性チーズで北米最大のシェアを誇る企業へと成長。2017年に大塚製薬の完全子会社となり、世界20カ国で展開しています。

同社は今年3月、発酵技術による植物性チーズの開発に、数百万ドル規模の投資を行うと宣言。年内の製品発売を目標としていました。

今回発表された新製法は、従来の製品に使われていたひよこ豆タンパク質をベースに、オーツ麦クリームをブレンドしたもの。昔ながらのチーズ製造の技術と最新技術を融合させるため、伝統的な発酵技術を活用する製法へと切り替えました。

製法変更に伴い、ロゴやパッケージなどのVI(ビジュアル・アイデンティティ)も一新。新製品は、北米で展開する25,000以上の店舗で販売中の従来品と順次入れ替えられ、同じ価格で販売されます。

発酵でチーズ本来の特性を再現


Daiya Foodsによると、植物性チーズの製造に発酵を利用することで、「従来の乳製品と同等」のレベルに達することが可能に。新製法では、従来品に比べてクリーミーさが増し、「市販されているどの製品よりも美味しく、溶けや伸びの特性を再現できている」といいます。

発酵により優れた乳製品不使用のチーズを作れるということが、科学的に立証された例もあります。デンマークの科学者たちは昨年、黄色エンドウ豆(yellow pea)のタンパク質を細菌のはたらきにより発酵させると、従来のチーズに含まれているのと同じ化合物が生成されることを発見しました。

Daiyaは原料として、オーツ麦とともにエンドウ豆タンパク質を使用。北米で発酵によりヴィーガンチーズを製造している企業には、カナダのSpread’em Kitchenや米国のMiyoko’s CreameryVertageなどがありますが、製法としてはカシューナッツをベースに用いたものが多い印象です。

市場で求められる植物性チーズの改良版


The Good Food Instituteが示したSPINSのデータによると、昨年の米国におけるヴィーガンチーズの売り上げは2億3,300万ドル(約332億円)。金額としては大きいものの、前年比2%減、小売売上も5%減となりました。

チーズカテゴリー全体に占めるシェアはわずか1.1%で、世帯普及率は5%。一度試した消費者のうち、リピートしたのは半数にとどまったといいます。

米国の6,000万世帯のデータを活用した別の調査では、米国人の73%が、ヴィーガンチーズの風味やざらざらとした口当たりに不満を持っていることが明らかになりました。

市場で求められているものは、より美味しく、よく溶けるクリーミーな食感のチーズであり、前述したように、Daiyaが新製品の特徴として挙げている要素と合致しています。

既存の植物性チーズの改良版として、市場への浸透率を高められるかが注目されます。

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