植物性代替肉の表示規制に向かうフランス、新たに21の用語の使用を禁止する政令案を発出

植物性食品に「肉を想起させる表現」の使用を禁止する政令を検討しているフランス農務省が、事業者に与えられる猶予期間の追加などを行った改正案を発表しました。

実質ほとんどの表現が使用不可に


同国が初めて同様の使用禁止令を可決したのが、昨年6月。しかしその後、EU法に矛盾しているとして植物性食品に関わる複数の団体が提訴し、裁判でも不当と判断されたことを受けて、一時撤回。欧州司法裁判所検討要請が持ち込まれていました。

回答が得られ次第、フランス国務院(Conseil d’État)で裁判が再開される見込みでしたが、これを待たずして、フランス農務省は今回の新たな政令案を打ち出しています。

新たな政令案は、代替プロテイン製品のラベル表示によく使われる「ステーキ」「ビーフ」「ハム」「グリル」といった、21の用語を禁止するもの。また、「ベーコン」「ソーセージ」「ナゲット」など120語以上を関連用語としてリストアップし、代替プロテインの割合が最大0.5〜6%の製品を除いては使用を禁止しています。

禁止はフランス国内で製造・販売される製品のみに適用されるものですが、100%ヴィーガンの代替プロテイン製品では、実質ほとんどの用語が使用不可に。

新政令は、事業者に製品ラベルを適応させる猶予期間を与えるため、公布から3カ月後に施行予定。また、公布から1年間は、施行前のラベルを貼付した製品在庫の販売が認められます。

EU法への違反は引き続き争点に


フランス農業大臣のMarc Fesneauは、「食肉製品に関連する名称に関して、誤解を招くような主張に終止符を打ちたい」と述べました*1

しかしながら、ProVeg Internationalが昨年発表したレポートによると、回答者の76%が「ヴィーガン」「ベジタリアン」「植物性」などの表示について、製品の性質を理解・識別するのに役立っていると回答しており、現行の表示が必ずしも消費者の混乱を招いているとはいえない状況です。

植物性食品メーカーを代表するProtéines Franceの弁護士Guillaume Hannotinは、「植物性ステーキ」という言葉が40年以上前から使われていることに触れ、「牛乳とは異なり厳密な法的定義のない製品の表示に関するEUの規制に、フランスの新政令はまだ違反している」と主張しています*1

*1 https://www.theguardian.com/world/2023/sep/05/france-prepares-to-ban-vegetarian-products-from-using-meaty-language

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