ドイツのEsencia Foods、欧州初のホールカット菌糸体シーフードを展示会で披露

ドイツの代替肉メーカーEsencia Foodsが、今月ケルンで開催された食品見本市「Anuga」で、欧州初の菌糸体由来シーフードの試食提供を行いました。

2つの原料のみを使用したホールカットの代替魚


Hendrik KateBruno Scocozzaにより昨年8月に設立されたEsencia Foodsは、プレシードラウンドで50万ドル(約7,520万円)を調達。ホタテやサーモンの代替品となる菌糸体を模索した後、現在はスズキやタラなど白身魚のホールカット開発を進め、試作品を完成させています。

同社は、食品産業で一般的な食用菌の菌株を使用し、菌を植え付けた固体表面上で微生物を増殖させる、固体発酵プロセスを採用。

原材料や加工工程の多くなる植物性食品とは異なり、2つの原料のみから構成されている点が魅力です。正確な成分リストは公表されていないものの、タンパク質、繊維質、オメガ3脂肪酸を豊富に含んでいるといいます。

菌糸体ベースの白身魚は、2年に一度開催される世界最大級の食品見本市「Anuga」で、試食用に展示されました。同社はこの出展を通じ、レストランや外食流通業者、食品企業との提携を模索している様子です。

菌糸体シーフードは未開拓の分野


代替シーフード分野では、植物由来の製品を開発する企業が増えてきている一方、細胞培養や微生物発酵の技術を用いたスタートアップ企業はまだほとんど存在しません。

現在のところ、Esencia Foodsの主な競合企業は、米AQUA Cultured Foodsのみ。同社は、ホールカット菌糸体シーフードの開発に世界で初めて成功した企業で、キハダマグロ、白身魚、エビ、イカなどに重点を置いています。今年4月には、生産規模拡大に向け、シードラウンドで550万ドル(約8億2,700万円)の調達を行いました。

B2Bで菌糸体原料を供給する米The Better Meat Co.と、植物由来の代替シーフードを手掛けるイスラエルのOshi(旧称:Plantish)は、お互いの技術を組み合わせたサーモンの代替品開発に向け、今年7月に提携を実施。

そのほか、コペンハーゲンの科学者たちは、ミシュランの2つ星レストランAlchemistと共同で、菌糸体を使ったシーフードの開発に乗り出しています。

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