Moolec Scienceが、分子農業プラットフォームの拡大に向け約45億円を調達

ルクセンブルクに本社を置く分子農業スタートアップのMoolec Scienceが、転換社債を通じて戦略的投資家から現金と現物出資で3,000万ドル(約45億1,000万円)を調達したと発表しました。

植物を用いてタンパク質を生産


Bioceres Crop SolutionsからスピンアウトしたMoolec Scienceは、SPAC(特別買収目的会社)との合併を通じて、今年1月に米NASDACでの取引を開始。時価総額は1億ドル(約150億円)を超えていますが、株価は上場直後の20ドル(約3,000円)から、足元では3ドル(約450円)以下まで下落していました。

分子農業プラットフォームで知られる同社は、黄色エンドウ豆や大豆などの植物を生物工学的に改良。代替肉の味や食感、栄養、色味を改善できるという、牛や豚のタンパク質を発現させることに成功しています。

今年7月には、豚肉タンパク質を大量生産できる、中身が豚肉と同じピンク色をした大豆「Piggy Sooy」を発表しました。

それ以前にも、チーズ製造に一般的に使用されるキモシンや、γ-リノレン酸(GLA)を含んだ栄養オイルを製品化しています。いずれも生産にはベニバナを用いており、後者は米国食品医薬品局(FDA)からGRAS認証を取得済み。また、米国農務省動植物検疫局(USDA-APHIS)からも安全性を認められており、米国への輸入や、米国内での植物の栽培が自由に行えます。

製品開発を強化するため現物出資を活用


Moolec Scienceは、アルゼンチン企業のGrupo Insudに対し、2026年を期限とする2,100万ドル(約31億6,000万円)相当の転換社債を発行することで合意。この転換社債は、1,000万ドル(約15億円)の現金支払いと、Grupo Insudからの現物出資(同社が保有する最先端設備へのアクセスなど)と引き換えに発行されます。

同社はまた、Bioceres Crop Solutionsとも同様の契約を締結。水・炭素・化学物質のフットプリントを低く抑えるリジェネラティブ農業(環境再生型農業)の手法で生産された、約1万5,000トンの大豆の供給を確保し、これを転換社債により支払い。前述の発行分と合わせると、3,000万ドル(約45億1,000万円)に上ります。

CFO(最高財務責任者)を務めるJosé López Lecubeは、「現金収入は主要な研究開発プロジェクトの資金に充て、現物出資は商用化計画と製品開発を強化するため活用する」と説明しています。

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