Switch Foodsの植物性ケバブが小売り販売開始、UAEでも植物性食品がブームに
アラブ首長国連邦(UAE)のSwitch Foodsがアブダビに同国初となる植物性代替肉工場を開設してから、数カ月が経過。アブダビ市内の小売店では、同社のヴィーガンケバブ、ひき肉、ハンバーガーなどが入手可能になっています。
ローカル生産で手頃な価格を実現
Switch Foodsは今年4月、アブダビのハリファ工業地帯に、植物性代替肉を製造する2万平方フィートの工場を開設。今月から、初の国産ヴィーガン製品を小売市場に投入しました。
同社の製品ラインアップには、ローカル料理であるケバブ、コフタ、スジュク(牛肉のソーセージ、上写真)に加え、ひき肉やハンバーガー用パティなどもあり、全製品がGMOフリー、グルテンフリー。また、アレルギーの元となる大豆も使用していません。
ハラール認証も取得済みで、アブダビ市内のスーパーのほか、TalabatやCareemといったオンラインサイトでも購入可能です。
価格は、ひき肉250g入りで14UAEディルハム(約553円)、ハンバーガーのパティ4枚入りで34UAEディルハム(約1,343円)、ケバブの肉240g入りで20UAEディルハム(約790円)。激安とまではいかないものの、輸入された植物性代替肉に比べると手頃な価格となっています。
中東でも植物性食品がブームに
UAEは、年末に国連気候サミット(COP28)の開催を控えた今年を「持続可能性の年」と銘打ち、国を挙げて持続可能な開発を推し進めようとしています。その中では植物性食品を推進することも掲げており、COP28で参加国に振る舞う料理を植物由来のヴィーガン食とすることを発表しました。
国民の間でも植物性食品が人気となっており、2020年コロナ禍でのロックダウン以降、植物性食品へのシフトは、UAE国内の消費者トレンドの上位を占めるようになりました。
健康意識の高まりや、動物性食品の生産が環境に与える影響の大きさ、動物福祉への関心に後押しされ、ヴィーガンのライフスタイルを取り入れる人が増加。それに伴い、レストランやホテルでも本格的な植物性食品メニューを提供するところが増えているといいます。
データ分析会社のYouGovが2021年に実施した調査では、回答者のほぼ半数が、過去1年以内に乳製品を植物性食品・飲料に置き換えていることが明らかとなりました*1。
このような状況下で、すでに国外の複数の植物性食品メーカーも同国市場に参入。2021年には、米国の植物性食品大手Impossible Foodsがドバイ国際博覧会(ドバイ万博)で中東デビューを果たし、シンガポールを拠点とするTiNDLEもUAE国内の20のレストランに進出しました。オランダのUpfieldは、ヴィーガンチーズのブランド「Violife」を発売しています。
また、UAEにとどまらず、隣国のサウジアラビアも植物性食品を積極的に推進しており、サウジアラビア環境・水・農業省(Ministry of Environment, Water and Agriculture)が、地元企業との間で代替プロテイン製品の共同開発契約を締結しています。
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