スウェーデン企業Oatlyがネスレとの提携により、オーツミルク専用のコーヒーカプセルを限定発売
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スウェーデンのオーツミルクメーカーOatlyが、世界最大の食品・飲料会社ネスレとの提携を実施。オーツミルクに合うよう専用に開発されたコーヒーカプセルを、先月末から数量限定で販売しています。
拡大する植物性ミルクのニーズを取り込み
両社の提携で開発されたネスプレッソ(専用のコーヒーメーカーにカプセルをセットしてエスプレッソを抽出するシステム)で使用できるコーヒーカプセルは、Oatly製品が持つオーツ麦の自然な甘みと調和するような風味にデザインされており、増加する植物性ミルクの愛飲者にアピールするもの。
植物性ミルクを用いる消費者は欧米で2人に1人、アジア太平洋地域やラテンアメリカでは3人に2人に上るといい、最大の市場となっているアジア太平洋地域では2023年に134億ドル(約2兆円)の売り上げを記録しました。
この成長の要因には、世界人口のほぼ3分の2人(65%)といわれる乳糖不耐症の存在や、従来の乳製品が環境に及ぼす影響に対する意識の高まりが挙げられています。
ネスプレッソのコーヒー部門でグローバル責任者を務めるKarsten Ranitzschによると、同社の使命は味にこだわり、コーヒー愛好家が自分好みの完璧な一杯を作れるようにすること。植物由来の飲料に手を伸ばす人が増えているのを認識する中で必要性を感じ、Oatlyとの提携に至ったとしています。
カプセル廃棄の問題が背景に
共同開発されたコーヒーカプセルは、米国、英国、中国、オーストラリアなど15カ国以上で販売中。ネスプレッソのウェブサイトまたは店頭で購入が可能です。
ネスプレッソは2023年に64億ドル(約9,700億円)の売り上げを記録し、コーヒーカプセル市場を独占していますが、欧州における需要減退により2024年上半期は1%減となっていました。オーツミルクを取り入れ、より幅広い消費者層にアピールすることで巻き返しを図ります。
同社が持続可能性への取り組みを進めている背景には、年間57万6,000トンの廃棄物が出るという、コーヒーカプセル業界にはつきものの問題があります。同社はカプセルのリサイクルシステムに年間3,500万ドル(約53億円)以上を費やしているものの、実際にリサイクルされているのはわずか32%。
新製品のカプセルは組成こそ目新しいものではありませんが、オーツミルク専用の製品として提供することで、人々がそれに従い代替乳製品を使えば、少なくとも家庭レベルでのフットプリント削減にはつながるとの考えです。
バリスタ向け製品の展開を強化
一方のOatlyにとってこの提携は、すでに世界中のスペシャルティコーヒーショップでスタンダードとなっている「バリスタ・エディション」を、より多くの一般家庭に届けることを可能にするもの。
コロナ後の売り上げの鈍化に直面する中、世界中で毎秒400杯が飲まれているというネスプレッソからの発売で、展開を強化します。
同社は、昨年から利益率の低いSKUを廃止する傍ら、バリスタ・エディションのラインアップを増やして売り上げを拡大。
三角パック型の20mLタイプの製品は、ロンドンの鉄道会社LNERやアヴァンティ・ウェスト・コースト、ブリティッシュ・エアウェイズ、スイス国際航空などのメニューにも採用されています。
参考記事:
OATLY AND NESPRESSO UNVEIL THEIR OATLY BARISTA EDITION COFFEE | Nestlé Nespresso
Oatly, Nestlé Join Forces to Create Nespresso Coffee Pods ‘For Use With Oat Milk Only’
* 2025.02.15追記:2月12日、2024年第4四半期および通期の決算報告がありました。第4四半期の売上高は2億1,430万ドル(約326億円)で、前年同期比5%増。売上総利益率は28.8%で、同5.4%増。最終的には9,120万ドル(約139億円)の純損失となりましたが、前年の2億9,870万ドルから減少しました。これを受け、2025年には初の通年での黒字達成を見込んでいると発表しています。
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