イスラエルのEnzymitとAleph Farmsが、インスリン代替物質の共同開発に成功

酵素製造技術を開発するEnzymitと、培養肉生産のAleph Farmsが、インスリン代替物質の開発に成功したことを発表しました。培養肉の大規模生産に向けコストを削減し、開発期間を短縮できる見込みです。
培地コストのさらなる低減へ
培養肉生産のスケールアップに際し、最も大きなコストを必要とするものの一つが、細胞の成長を促進するアニマルフリーの培地開発。インスリンは、従来の動物由来の血清によらない培地を作るにあたって、重要な構成要素になっています。
Aleph Farmsは、動物性プロテインと同じ機能を果たし、分子あたりの活性を高めた新たなインスリン代替物質を共同開発するため、Enzymitの技術に着目しました。代替物質の活用により、成長培地のコストを大幅に削減し、生産効率の向上が期待できます。
Enzymitは、独自のアルゴリズムとハイスループット実験を行って、多種多様なインスリン代替物質を短期間で開発、その機能性を評価してきました。その結果選択されたものは、すべて大腸菌で発現する可溶性プロテインであり、複雑な精製工程や追加処理を必要としません。
さらにスクリーニングを行った結果、細胞培養に優れた活性を示しながらも、活性化に必要な濃度を最小限に抑えた有力候補がいくつか見つかりました。いずれも下流の精製工程が著しく少ないため、生産時間とコストを大幅に削減することができるものです。
イスラエル企業によるこの共同研究の成功は、牛の細胞の培養にとどまらない、大きなメリットをもたらします。哺乳類が共通して蓄えるインスリンを代替できれば、豚、羊、鶏など、ほかの種類の培養肉生産にも同様に適用できる可能性があります。
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