培養肉企業Re:meatがCurveへの社名変更を実施、B2Bでのライセンス供与に注力する方針を固める

スウェーデンの培養肉スタートアップRe:meatが、培養肉事業から大規模産業用途向けの幅広いタンパク質生産プラットフォームへの事業転換に伴い、社名を「Curve」に変更するリブランディングを行いました。

バイオリアクターへの設備投資を70%削減


培養肉産業は過去10年間で生産コストを99%削減してきたものの、従来の食肉との価格競争力を持ち始めるには、早くとも2030年まではかかると予測されています。

コスト面の課題の中でも大きな要素となっているのが、設備投資。多くの細胞農業スタートアップは依然として製薬業界向けに作られたバイオリアクターに依存していますが、こうした機器は非常に高価で、利ざやの小さい培養肉生産には適していません。

Curveの事業の中核は、このギャップを埋めるよう開発されたモジュール式バイオリアクターを用いる「BIOBRIC」プラットフォーム。データのシミュレーションによりプロセス改良を自動で行いつつ、設備投資を最大70%削減できる低コスト設計が強みです。

また、生産コストの大部分を占める培地についても、高価なウシ胎児血清(FBS)の代替品を開発しています。

影響力を最大化する方法としてB2Bに注力


2022年創業のRe:meatは、家畜から採取した細胞を不死化して培養。ひき肉に焦点を当てた2〜3週間の生産プロセスを構築してきました。

今年、8+ Venturesが主導する資金調達ラウンドで100万ユーロ(約1億7,900万円)を確保。ルンド大学のイノベーションハブBiotech Heightsとの提携により、培養肉生産に特化したパイロット施設を設立する計画を明かしています。

Curveへのリブランディングに伴い同社は、自社での原料生産から軸足を移し、ほかの持続可能な食品メーカーを支援する方針に転換。機能性タンパク質に依存する複数分野へと技術の水平展開を狙い、他企業と連携して菌株と培地の最適化を進めながら、ゆくゆくはライセンス供与により収益を上げる計画です。

共同創業者でCEOのJacob Schaldemose Petersonは、「単一の最終製品を生産するのではなく、多くの企業が自社生産を拡大できるよう支援することこそが、影響力を最大化する方法だと確信した」と説明しています。

B2Bの事業モデルは培養肉が成功する唯一の道ではないものの、現時点ではおそらく最も拡張性のある道筋だとPetersonはいい、「バイオものづくりの経済性とインフラの課題は、ほとんどの原料メーカーが単独で解決するには大きすぎる」と指摘。

「共有ツールと生産システムを構築することで、B2Bモデルは業界全体を加速させる。低コストの基盤技術が確立されれば、その上にB2Cのイノベーションが花開くだろう」と語っています。

参考記事:
Curve | LinkedIn
Re:meat rebrands as Curve to expand its focus beyond cultivated meat | New Tech Foods
Re:meat Rebrands as Curve, Expands Beyond Cultivated Meat Into Industrial Protein Biomanufacturing
Sweden’s Re:meat Rebrands to Curve to Enable Low-Cost, Large-Scale Biomanufacturing
Re:meat rebrands as Curve to power the next wave of industrial-scale protein biomanufacturing | PPTI News

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