米Ayana Bioと韓国のWooree Green Scienceが提携、細胞培養によるサフランの生産を目指す
米国・ボストンを拠点とするAyana Bio(Ginkgo Bioworksからのスピンオフ企業)と韓国のWooree Green Science(Wooree Bioの子会社)が、食品・医薬品向けの持続可能な機能性成分の開発を目的とした、共同開発契約の締結を発表しました。
植物細胞を培養する技術を用いた農業によらない手法でサフランを生産し、より安価な植物由来のダイエットサプリの供給を計画。サプライチェーンの課題や高額な人件費に対処することを目指しています。
労働集約的で高コストなサフランの収穫
サフランは、スパイスとして料理に用いられるほかにも、伝統医学においてさまざまな症状の緩和に役立つとされ、重宝されてきました。
Ayana Bioによると、サフランは空腹感を抑え代謝を高めることで、ダイエットをサポートする効果が証明されているといいます。しかし、気候変動がサフランの収穫に及ぼす悪影響により、サプライチェーン上の問題が深刻化。
サフランの収穫作業は労働集約的であり、短い開花時期を狙って一本ずつ手で摘み取る作業が行われます。1kgのサフランを得るのに17万本もの花を必要とするため、サプリメントの原料としては極めて高コストなものとなっていました。
同社CEOのFrank Jakschは、この状況の変革を目指し「天然植物由来のダイエットサプリ市場を活性化させ、より多くの人々が健康上のメリットを享受できるようにしたい」とコメントしています。
あらゆる生物活性物質を生産
Ayana Bioは、バイオリアクターで植物細胞を培養する技術を用いて、土地や水、除草剤、殺虫剤などの利用に頼らず、気候変動の影響も受けない手法を開発。
人間の健康をサポート・改善するような、天然に存在するあらゆる生物活性物質を生産できると主張しています。
Jakschによると、抗がん剤タキソール(一般名:パクリタキセル)の生産に使われていることで知られるこの手法は、完全に成長した植物から生物活性物質を抽出するにはコストがかかりすぎるか、実用的でない場合、また精密発酵で効率的に生産することができない場合に有効とのこと。
植物細胞は、その植物に含まれるすべての生物活性物質を生産するため、特に複数の物質による相乗効果が見込まれる場合に、単一成分のみに焦点を当てた精密発酵では不十分だといいます。
植物化合物の製品ポートフォリオを拡大
Ayana Bioは昨年、レモンバームとエキナセア(いずれもハーブの一種)を細胞から培養し、睡眠改善や免疫機能向上を狙ったサプリメント向けの原料として発売。また、カカオポリフェノールを生産する持続可能な技術の確立にも注力しています。
サフランをはじめとする、Wooree Green Scienceと共同開発した原料は、「Plant Cell Advantage」シリーズのポートフォリオに加わる予定。
同シリーズは、味も色もニュートラルなクリーンラベル製品で、DNAフィンガープリント法による認証を行って完全なトレーサビリティを確保しています。
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