スロベニア初の培養肉企業「Tech4Meat」が誕生、気候変動への懸念から事業化

軽飛行機メーカーPipistrelの創業者で長くCEOを務めたIvo Boscarolが、スロベニア西部のアイドフシュチナに新会社「Tech4Meat」を設立しました。

地球上で増え続ける食料需要に対応するため、幹細胞から培養肉、さらには植物を生産します。

気候変動への懸念から会社を設立


Boscarolは、1989年に創業したPipistrelを、2022年に2億ユーロ(約322億円)以上で米Textronに売却した起業家。

地元メディアの取材に対し、「気候変動により家畜の飼料生産はますます困難になるに違いない。専門家によると、洪水を伴う大雨が頻繁に起こるようになり、飼料が壊滅的な打撃を受けるという。また、干ばつが長く続いても、飼料を生産することはもちろん不可能になる」とコメントしました。

Tech4Meatの創立メンバーは2人の従業員と数人の契約社員のみですが、今後数カ月のうちに追加雇用を予定しており、15,000~20,000平方メートルの施設を保有する計画。

CEOに就任したKatja Križmanは、シンガポールでフードロボットを開発するZimplisticに勤めた経験のある人物。現在は研究段階で、最初の製品は数年後に市場に出る予定と語っています。

現時点では、細胞を培養するのは依然として高価なプロセスであるため、地元で生産される植物由来原料などを取り入れ、持続可能な生産プロセスの構築を目指すとしています。

スロベニアの代替プロテイン企業


代替プロテインを手掛けるスロベニア企業としては、100%植物性のホールカット肉を開発するJuicy Marblesが挙げられます。今年初めには英国の大手スーパーTescoに進出し、動物性ステーキ肉を下回る価格を実現しました。

植物性食品を欧州に展開するNarayan Foodsは、米MeliBioと共同で「Better Foodie」ブランドを立ち上げ、植物由来のヴィーガンハチミツを発売しています。

細胞農業に関してはこれまで目立った動きが見られませんでしたが、Tech4Meatはスロベニア初の培養肉企業として、市場における重要なプレーヤーになることを目指しています。

参考記事:
STA: New company sets out to produce cultured meat
Cultured Cuts: Slovenia’s Venture into the Future of Food – The Region

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