牧草タンパク質を生産するオランダ企業Grassaが約5.8億円を調達

牧草からタンパク質を抽出して輸入大豆の持続可能な代替品としての活用を目指すオランダ企業Grassaが、さらなる技術の発展のため360万ユーロ(約5億8,300万円)の調達を実施したと発表しました。
乳量に影響を与えず窒素排出を削減
同ラウンドには、Oost NLが運営するヘルダーラント州(Grassaの拠点)のファンドPerspectieffonds Gelderland(PFG)に加え、既存株主の飼料メーカーFransen Gerritsと、Brightlands Venture Partnersが参加しました。
調達した資金は、技術を拡大して酪農家と共にそのメリットを実証し、ヒトの食用に活用できる牧草タンパク質を開発するために使用されます。
2014年創業のGrassaは、乳牛の飼料に消費される牧草からタンパク質の50%を抽出し、大豆タンパク質の持続可能な代替品として活用する技術を開発。タンパク質摂取量が少なくなるにもかかわらず、牛の乳量とその栄養価には影響を与えません。
この処理を施した後の牧草を牛に与えると、タンパク質含有量が低下することから、結果的に牛が排泄物を通して排出する窒素が削減されます。
CEOのRieks Smookによると、オランダの牧草地面積の20%を同社の手法で処理すれば排泄物の余剰はなくなり、60%を処理すれば同国の大豆需要をすべて満たすことができるといいます。
輸入大豆に依存しない方法として注目を集める
抽出した牧草タンパク質は、質的には大豆タンパク質と同等かそれ以上であり、元の牧草は従来どおり牛に与えられるため、ほかの作物生産を置き換えるものではないとのこと。
現在は家畜の飼料用途以外での利用が認められていませんが、Grassaはヒトの食用に適したものにする取り組みを進めている最中です。
同社の技術は、オランダの「国家タンパク質戦略」でも、大豆のような作物の輸入に依存しない方法として言及されていた様子。
2023年にはオランダの植物性代替肉メーカーSchoutenと提携し、CO₂排出の少ない代替タンパク質を地元でスケーラブルに生産できるかの調査を行いました。
Fransen GerritsのCEOを務めるHuub Fransenは、「飼料生産者である当社は、より効率的に家畜に飼料を与えて肉や牛乳、卵の生産に係るフットプリントを削減する方法を模索してきた。Grassaの技術では牧草を有効活用して牛乳のフットプリントを削減し、酪農家は牧草地の価値を高めるというWin-Winの関係が築ける」と語っています。
参考記事:
Grassa Raises €3.6M to Further Develop Grass Protein Production Technology
Grassa Raises EUR 3.6 Million; Grass Protein Consumption by Humans Draws Closer – Brightlands Venture Partners
この記事へのコメントはありません。