培養ステーキ開発のAleph Farmsが約43.7億円の調達を実施、新たな生産プロセスで効率性を向上

イスラエルの培養肉メーカーAleph Farmsが、生産能力の拡大と生産プロセスの見直しを進めるため、2,900万ドル(約43億7,000万円)を調達したと発表しました。

調達金額の内訳は、SAFE* の転換による2,200万ドル(約33億2,000万円)と、現在進行中のラウンドで既存投資家から追加で集めた700万ドル(約10億5,000万円)。

同ラウンドの一環として、今後数カ月以内にさらに1,000万~1,500万ドル(約15億1,000万〜22億6,000万円)の調達を予定しています。

* Simple Agreement for Future Equity:新株予約権と同じく、投資家に対して会社の将来株式(通常、次回の調達ラウンド)を取得する権利を付与するもの。

生産プロセスの改革で効率性を向上


この資金によりAleph Farmsは、イスラエルのレホヴォトにあるパイロットプラントの拡張と、欧州とアジアにおける新たな生産施設の確保を進める計画です。

新たな施設では、単一のバイオリアクターで細胞の増殖と分化を組み合わせて行う、効率性をより高めた最新の生産プラットフォームを適用する予定。

これまで、1つのバイオリアクターの懸濁液中で細胞を増殖させた後、2つ目のバイオリアクターに移して植物ベースの足場に播種し、筋細胞や脂肪細胞への分化を促していました。

新たなアプローチでは2番目のステップを省き、培地の組成を変えることによって、最初のバイオリアクターで細胞が部分的に分化するきっかけを作ります。

これにより、分化にかかる時間を60%短縮。その後は足場を使わずに、成長した細胞を植物性タンパク質のマトリックスに組み込むことで構造化します。

製品発売に向け、申請内容の修正を進める


上述のプロセス改善によりAleph Farmsは、2020年時と比べて生産コストを97%削減したと報告しています。

現在、2,000~5,000リットルの中規模生産における生産コストの目標値を1ポンドあたり14ドル(キロ単価約4,650円)としており、大規模生産では同6~7ドル(同2,000〜2,300円)まで削減できる可能性もあるとのこと。

同社はすでにイスラエルで最初の安全性認可を取得しており、英国、スイス、タイでも規制当局への申請を実施済みですが、最新の生産方法を反映させるため修正手続きが必要。今後6カ月以内に培養牛肉製品を上市できるよう、現在修正中です。

また、2年前に一時中断していた米国市場への参入計画についても、今後数年のうちに再開したい意向を示しています。

展開においては、保有資産を軽量化するアセットライト戦略の下、パートナーとの共同開発を意図しており、昨年タイのBBGIおよびFermbox Bioとの提携を実施。アジアの拠点となる生産施設の設置を計画しています。

参考記事:
Exclusive: Aleph Farms lands $29m to commercialize lower-cost whole-cut cultivated steak
Aleph Farms Secures $29m to propel cultivated steak production | The Cell Base

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