英MiAlgae、ウイスキー製造の廃棄物を藻類由来のDHAに変換する新工場の建設を開始

スコットランドのバイオテクノロジー企業MiAlgaeが、中部の工業都市グランジマスに新たな生産施設の建設を開始したと発表しました。完成すれば、微細藻類オイルの生産量が現在の10倍以上に増加する見込みです。
政府支援を受けてオメガ3生産を拡充
数百人の雇用創出が見込まれるこの新施設は、ペットフード産業と水産養殖産業向けに魚由来でないDHA(ドコサヘキサエン酸)を供給し、海洋由来オメガ3への依存度を低減することを目的としたもの。
グランジマスを低炭素産業の拠点へと転換する政府主導の取り組み「Project Willow」の一環として、スコットランドおよび英国の政府から合計最大300万ポンド(約6億2,600万円)の資金援助を受けて進められます。
MiAlgaeの生産プロセスでは、スコットランドを象徴するウイスキー産業から出た副産物を栄養源として活用し、認知機能や免疫力の向上効果が示されているオメガ3脂肪酸の一種、DHAを豊富に含む微細藻類を自然培養します。
厳格な品質検査を経た藻類は、乾燥、液体、またはサプリメントの形態で顧客に配送され、ウイスキー製造の廃棄物から再生した浄水は水系へと戻されます。
同社によると、このプロセスにより年間約60億匹の魚の漁獲を回避できると同時に、近隣の蒸留所から調達した3,600万リットル以上のウイスキー副産物のリサイクルが可能。従来型のDHA生産と比較して環境フットプリントを大幅に低減します。
欧米のペットフード市場に供給へ
新施設は2026年第2四半期に稼働開始予定で、英国、欧州連合(EU)、米国のペットフードメーカーに対してサービスを提供する拠点となります。
国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の魚類資源の約90%が完全または過剰に利用されているか、枯渇状態にあるとのこと。主として人間の消費のための乱獲により、2048年までに海洋生態系が完全に崩壊する恐れがあると警告した研究結果もあり、消費者の75%がオメガ3の新たな供給源に関心を抱いています。
MiAlgaeの創業者でCEOでもあるDouglas Martinは、「私たちの使命は、乱獲への取り組み、廃棄物の削減、産業廃棄物からのサステナブルな価値の創出といった有意義な影響をもたらすこと。新施設の着工は、当社にとって新たな章の始まりだ」とコメントしました。
英国のエネルギー大臣を務めるMichael Shanksは、「地域初の新たなプロジェクトに対する支援を行い、数百の良質な雇用を創出するとともに、さらなる地域投資を呼び込むという一歩を踏み出した」と、経済振興への期待を政府のプレスリリースで述べています。
参考記事:
UK government backs first project at Grangemouth site – GOV.UK
MiAlgae Converts Whisky Waste into Fish-Free Omega-3 at New Grangemouth Site
MiAlgae breaks ground at Grangemouth to scale fish-free Omega 3 production | PPTI News
Backed by UK Government, MiAlgae’s New Factory to Produce Fish-Free Omega-3 from Whisky Waste
Ground broken for major algal oil facility | The Fish Site


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