ニュージーランドのForever Harvestが1億円超を調達、細胞培養技術で果物・ナッツの安定生産を目指す

ニュージーランドのスタートアップ企業Forever Harvestが、植物細胞の培養によって生産した果実・ナッツ原料の開発を加速させるため、プレシードラウンドで120万ニュージーランド・ドル(約1億1,100万円)の資金調達を行いました。

気候条件に依存しない安定した原料生産が可能に


Forever Harvest初の調達ラウンドは、Sprout Agritechがリードインベスターを務め、Bioeconomy Science InstituteとCallaghan Innovationの「Deep Tech Incubators」プログラムが支援を行いました。

Christian Aidの報告によると、2080年までに、ラテンアメリカとカリブ海諸国のバナナ栽培地域の約3分の2が、異常気象や気候変動に関連する害虫の影響で栽培に適さなくなる可能性があるとのこと。

そのほか、モロッコでは数週間にわたる洪水により、今シーズンのベリー類の収穫量が10%減少すると予測されています。南アジアでは降雨パターンの変化がグアバの収穫量を低減させ、アマゾン地域では生育環境の悪化により、ブラジルナッツの収穫量が昨年80%減少しました。

Forever Harvestの活用する技術では、こうした気候条件に依存せず、標的とする栄養素、風味、食感、そして機能性を備えた原料の効率的な生産が可能です。

植物細胞の培養技術が果実の栽培に初めて用いられたのは、1951年。先駆的な研究を行っていたJ. P. Nitschがトマトの花を切り開き、糖類その他の栄養素を含む培地で培養したところ、完全に成長したトマトが形成されました。

近年の事例としては、フィンランド(アボカドやベリー類)やイタリア(スナックの3Dプリント生産)の政府系機関でも同様の取り組みが進められています。

パイロット生産の推進と、大手企業との提携に注力


Forever Harvestは、ニュージーランド政府の研究機関Plant & Food Research(昨年、Bioeconomy Science Instituteに統合)で開発された技術を基盤とし、その市場化に特化した新たな事業体として設立されました。

Plant & Food Researchは、2023年にブルーベリー、リンゴ、サクランボ、フェイジョア(パイナップルグアバ)、モモ、ネクタリン、ブドウの栽培試験を実施しています。

この知的財産を引き継いだForever Harvestは、食品安全基準を満たす原料を用いて、遺伝子組み換えによらずに果実・ナッツ細胞を培養する基盤を構築。

今回調達した資金で開発を加速させ、今後1年間はパイロット生産と、世界的な食品・原料企業との提携の深化に注力する計画です。

共同創業者のJan Grantは「独特の香り、色、風味を持つ可食性細胞の培養を目指している」とコメント。「当社の手法は最小限の土地と水で済み、季節性を排除し、農薬や肥料といった投入物も必要ない。これにより精度も大幅に向上し、望ましい機能特性を備えた特定の果実やナッツの細胞を、顧客に安定供給できるようになる」と述べています。

参考記事:
Cellular horticulture startup Forever Harvest raises $1.2m · Plant & Food Research
NZ Startup Secures Funding to Boost Food Security with Lab-Grown Fruits & Nuts
Cellular Horticulture Startup Forever Harvest Raises $1.2m To Secure Future Fruit & Nut Supply For Global Food Companies | Scoop News

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