米Checkerspot、微細藻類の発酵を用いたスケーラブルな技術で新たなオメガ7生産ルートを開拓

米国のスタートアップ企業Checkerspotが、パルミトレイン酸オイルの生産における画期的な成果を、査読付き学術誌『Fermentation』に発表しました。

微細藻類の発酵を利用して、栄養、パーソナルケア、食品用途向けのオメガ7オイルを、商業規模で供給できる可能性のある高収率で生成できたと報告されています。

天然資源の制約を受けない生産プラットフォーム


オメガ7脂肪酸の中では最も研究が進んでいるうちの一つであるパルミトレイン酸(POA)ですが、これまで限られた天然資源に依存しており、生産規模の拡大が困難でした。

Checkerspotは論文内で、微細藻類を用いた発酵による高収率POAオイル生産の初の実証例という研究の内容について詳細に報告。供給不足に悩まされてきた脂肪酸にとっての転換点となり得る、新たなバイオ生産プラットフォームが確立されたとしています。

CEOのJohn Krzywickiは、「微細藻類の発酵は、栄養科学において最も重要な脂肪酸の一つであるPOAの、精密で拡張性があり、持続可能な生産プラットフォームとなり得る。既存の供給源の制約を受けることなく、より幅広い製品と人々にオメガ7の恩恵をもたらすための信頼できる道筋が初めて示された」と述べました。

POAは人体内でも自然に生成され、代謝、心血管、皮膚の健康状態との関連性が注目されている物質。Checkerspotが言及した科学文献では、インスリン感受性の向上、肝臓への脂肪蓄積の減少、炎症シグナルの調節、LDLコレステロールの低下、そして心血管リスクの改善と関連付けられています。

また、皮膚の健康にも寄与し、皮膚の水分量、弾力性、バリア機能、そしてシワの指標に一定の改善が見られたとの報告もあります。

精密発酵に比べて大幅な生産性向上を記録


しかし、こうした研究成果にもかかわらず、POAは依然として比較的限られた原料。最も豊富な植物由来の供給源であるサジー(シーバックソーン)とマカダミアナッツは、農業に頼るため地理的な制約に加え、供給量の変動という問題を抱えています。

また魚介類のPOA含有量も、食事からの摂取量としては低い水準にとどまっており、POAに対する科学的な関心と、幅広い消費者向け製品に必要な量を調達できる能力との間にはギャップが生じているのが現状です。

Checkerspotは、発酵技術によってこのギャップを埋めることができると主張しました。同社の研究では、独自の微細藻類株の分子組成を調整し、商業的に実現可能な高効率でPOAの生産を促進。その結果、サプリメント、化粧品、パーソナルケア製品、機能性食品の配合に利用できる、POAを豊富に含むオイルを作り出す株が誕生したといいます。

注目するべきは、POAの含有量が最大58%に達したという点で、Checkerspotはこの数値を、同社のシステムがニッチな供給にとどまらず、より幅広い用途にPOAを供給できる可能性を示す証拠として提示しました。

論文では、得られた成果を、遺伝子操作された微生物宿主を用いた過去の研究結果と比較しています。そうした事例の中では、報告されたPOAの生産性は最高でも192時間で25.6g/Lでした。一方、Checkerspotの微細藻類プラットフォームでは、96時間で20.9g/Lを達成。総収量はやや低いものの、時間が短いため生産性を大幅に向上させられ、産業レベルの要求を満たせる証拠として強調されています。

また、同様に重要なのが宿主そのもの。Checkerspotのプロセスはすでに工業規模の発酵で検証済みの微生物を使用しており、まだ実験室レベルでしか有望な結果を示せていないシステムに比べて優位性を持つとしています。

多分野のメーカーに新たな開発の可能性を示す


カリフォルニア州アラメダに拠点を置くCheckerspotは、油脂の精密な設計を基盤としたプラットフォームを構築しており、天然由来の調達が困難または持続不可能な機能性脂質に注力してきました。

過去には、史上初の高オレイン酸代替パーム油や、ヒト乳脂肪OPOの開発に成功。パートナー企業がより健康的で持続可能な原料を適切な規模・コストで市場に投入できるよう支援する分子ライセンス事業者と、自らを定義しています。

こうした背景から、POAの研究は、単なる技術的な成果というよりも同社のより広範な戦略、すなわち供給に制約のある価値ある脂質を特定し、それを安定的に大規模生産できる発酵プロセスを開発するという戦略に沿ったものとみなされています。

本研究は、人類や地球の健康への懸念に起因する、特殊オイルや機能性脂質への関心の高まりを反映したものともなりました。Checkerspotは具体的な製品化の予定については明かしていませんが、実用化可能なレベルでオメガ7オイルを生産する新たな方法を提示。

食品・栄養関連企業にとっては、拡大が難しい農業システムに依存することなく、オメガ7製品の開発を進める余地が生まれるかもしれません。

参考記事:
Checkerspot | LinkedIn
Listen: NI exclusive with Checkerspot CTO on POA innovation
Checkerspot opens new omega-7 route with scalable microalgae oil breakthrough | PPTI News

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