培養ペットフードを開発するチェコのBene Meat Technologies、EUで飼料原料としての登録を完了
チェコの首都プラハを拠点とするスタートアップ企業Bene Meat Technologiesが、培養ペットフード製品の規制認可プロセスをクリアし、正式に販売が可能になったと発表しました。
市販化に必要な要件をクリア
Bene Meat Technologiesは、哺乳類由来の培養細胞を用いた原料について、欧州飼料原料登録機関(European Feed Materials Register)への登録を実施。これにより、EUで初めて培養ペットフードの製造・販売を認められた企業となったとしています。
しかしながら、Atova Regulatory ConsultingでCEOを務めるHannah Lesterは業界紙『CellAgri』に対し、「欧州飼料原料登録機関への登録によって、培養肉が飼料原料として分類され得ることは事実」としながらも、「これはEUの規制当局の認可とは異なる」と強調して語っています。
Lesterによると、「飼料を手掛ける事業者は誰でも、EUの飼料原料リストにまだ収載されていない新規原料を欧州飼料原料登録機関に登録することができるが、これにより認可が与えられるものではない」とのこと。
また、「EC規則 767/2009に準拠した安全な原料であれば、問題なくペットフードに使用することができる。ペットフードには独自の表示要件があるものの、個別の認可プロセスは存在しない」と付け加えています。
Cellular Agriculture EuropeのRobert E. Jonesも、「フードシステムにおけるさまざまな目的のために培養肉の可能性が探求されるのは好ましいことだが、新製品の規制プロセスに関しては正確な情報を伝えることが重要」と指摘。
「当該企業は、業界主導のEU Feed Chain Task Forceが管理する欧州飼料原料登録機関に培養細胞を登録しているが、認可の証明書などが付与されたものではない。動物用の飼料原料は市販前承認を必要とせず、ヒトの食用となる培養肉に課される厳しい認可プロセスとは何の関係もない」と述べました。
これを受けBene Meat Technologiesは、「当社はチェコ共和国で哺乳類由来の培養細胞を生産する飼料事業者として正式に登録され、この新しい飼料原料を欧州飼料原料登録機関に登録した。また、欧州委員会(EC)およびチェコの規制当局とこの件について議論を重ね、原料や培養工程の詳細を提供した上で、哺乳類由来の培養細胞がカテゴリー12に分類されることを確認した。これらにより当社は、哺乳類由来の培養細胞をベースにした飼料原料を市場に出すための要件をすべて満たし、法的に認められたといえる」と説明しています。
2024年初頭にもEUで発売予定
Bene Meat Technologiesは、ヒトの食用としての培養肉生産を目的に2020年に創業しましたが、その後ペットフードに軸足を移しました。
2021年からウシ胎児血清(FBS)を含まない独自の成長因子を開発しており、2024年半ばを目処に、日産数トンの培養肉を生産できるよう生産能力を増強する計画です。
同社のTomáš Kubešは、「製品化に向けペットフードメーカーとの交渉段階に入った。当社の技術は、メーカーの要求に応じて、どのような製品にも使用可能な原料を提供できる点が強みだ」と語っています。
同社は、2024年初頭にもEUで初となるペットフード用の培養肉を発売する予定です。
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